シネマ日記 寝ずの番 ― 2006/05/03 22:05:41

古典的下ネタ炸裂、おかしくも、物悲しい人間の一面を暖かみのある笑いで、包んでくれます。
お通夜の夜の「寝ずの番」、故人を偲んで、回顧談に花が咲く。咲いただけでなく、歌いだすやら、踊りだすやら。また、この踊りがすばらしい。なにか一つ’突き抜けた’感情を憶えました。
「テレビではマネのできない映画らしい映画を撮る!」とのマキノ雅彦監督の言葉どおり、テレビでは放送できそうにもない面白い映画です。 この手の笑いについていけるのは、中高年だけかもしれません。私の前の席の中年夫婦の奥さん、かなり受けており、笑い声も一段と大きかったです。
お勧め度 ★★ 私の満足度 ★★★★★
若い方には、ちょっと引いてしまう笑いの要素あり。そんな方は、昭和の歴史を勉強しましょう。
シネプレックス水戸にて
公式HP 寝ずの番
シネマ日記 Vフォー・ヴェンデッタ ― 2006/05/07 09:08:09

第3次世界大戦後、アメリカを植民地とする独裁国家イギリス。仮面のテロリストは、サトラー率いる独裁国家に挑戦していく。最後に、独裁者に家畜化された人民も、目覚め立ち上がる。
しかし、独裁者を選び出したのは、その人民自身。独裁者に立ち向かっていく姿が、新たな独裁者を求めている姿に、見えたのは、私だけでしょうか?
ガイ・フォークス・デイと火薬陰謀事件というイギリスの歴史を理解していないと、この映画の面白さの半分は失われるでしょう。ちなみに、私は失われました。
また、仮面のVフォー・ヴェンデッタと丸刈りのイヴィー、主人公たちが異形な姿をとっていたのも、ペルソナの意味としてより、私の現実感を引き離すだけだったようです。
お勧め度 ★ 私の満足度 ★
ラストの爆破シーンは、美しい。破壊は創造の始まり!
シネプレックス水戸にて
公式HP Vフォー・ヴェンデッタ
シネマ日記 小さき勇者たち-GAMERA ― 2006/05/08 00:01:03

「小さき勇者たち」のタイトルどおり、この映画の主人公は、汚れなき子供たち。怪獣ガメラをファンタジー物語に登場させてくれました。
人間を救うため、必死に戦うガメラ。そのガメラに力を与えるであろう不思議な石を届けようとする子供たち。しかし、そこには、ガメラを人間を守る道具としてしか、見なさない大人たちがいた。
どちらが真の勇者であるのか?
日本人なら知らない人はいない「ガメラ」。こうやって語り継がれて行くのも、いいですね。 伊勢志摩の昔ながらの大衆食堂、昭和のたたずまいが、美しい。
お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★
親子で観て欲しい映画です。普段、お子さんとの会話が少ないお父さん、ガメラについて、熱く語って欲しいです。
フリーパスポート鑑賞 10作目 TOHOシネマズひたちなかにて
公式HP小さき勇者たち-GAMERA-
シネマ日記 LIMIT OF LOVE 海猿 ― 2006/05/09 21:36:26

前作の出来からみて、ぜんぜん期待していなかったのですが、これがどうして、手に汗握り、涙ウルウル、大満足の作品でした。
ハリウッド映画の典型的ともいえる、ちょっと大げさだが、悪乗りしない程度のストーリー運びを、いやみなく取り入れ成功しております。最後には、ハッピーエンド迎える安心感を揺さぶり続け、ハラハラドキドキさせる。そしてお待ちかねの大団円。
「人の命、人を信じる、人を愛する」
大上段に構え全編、全力投球のすがすがしさを、味わってください。 386席満席、エンドロールの最後まで、ほとんどの人が席を立ちません。ポップコーンを買っていく方、上映中は見入ってしまい、ほとんど手を付けられず、お持ち帰りとなるでしょう。
お勧め度 ★★★★★ 私の満足度★★★★★
大塚寧々って不思議な女優ですね。毎回、学芸会的演技だと思うのですが、それが結構、良い味になっている。そう感じるのは、私だけ?
フリーパスポート鑑賞 11作目 TOHOシネマズひたちなかにて
公式HP LIMIT OF LOVE海猿
シネマ日記 ブロークン・フラワーズ ― 2006/05/11 08:02:41

「古池や蛙飛びこむ水の音」?? ジム・ジャームッシュ監督の特有の「間」を十分堪能してください。芭蕉の俳句を味わうように。
ビル・マーレイのペーソスあふれる風情がなんとも、味わい深い。
1通のピンクの封筒の手紙から始まる、’ちょっと’笑えて、’ちょっと’寂しい、そして、誰もが、何かを’ちょっと’感じる映画です。この、’ちょっと’の感覚が、私には心地よく感じられます。
だだ窓の外を眺めている主人公の後姿のシーンを差し出されたら、それを自分で勝手に解釈して楽しんだり、解釈しないで静かな映像に身をゆだねたり、あなたの気分で自由に楽しんでください。
お勧め度 ★ 私の満足度 ★★★★★
私のツボに嵌る映画なので、万人にはお勧め出来ないのが残念。大好きなロードムービーで、しかもジム・ジャームッシュ監督。この監督の「ダウン・バイ・ロー」「ミステリー・トレイン」もお勧めです。
シネプレックス水戸にて
公式HP ブロークン・フラワーズ
シネマ日記 かもめ食堂 ― 2006/05/12 23:01:05

潔い意志のすがすがしさを、ヘルシンキの空に見たような気がします。
舞台が美しい。ヘルシンキの落ち着いた町並み。和食食堂の店内。主人公サチエの居間やリビング。調度品の北欧家具たちが、暖かみと住みやすさを、さりげなく主張しています。
ストーリーは、あくまでゆったりと、大それた事件もなく進みます。そのなかで、サチエのなにげない会話が絶妙です。 自立した人間の意志の強さと美しさを感じさせる台詞に、頷かされます。
個性派女優3人、小林聡美、片桐はいり、もたいまさこが織りなす、心温まる映画です。脚本・監督を務めた荻上直子の視点の温かさと確かさを感じました。
お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★
前回のブロークン・フラワーズと同様にゆったりと、静かに進む映画ですが、ブロークンは人間の’暗’に、かもめは、’明’にスポットを当てる対照的な作品ですね。 コピ・ルアック!
シネプレックス水戸にて
公式HP かもめ食堂
シネマ日記 明日の記憶 ― 2006/05/14 19:45:46

劇中の痴呆判定テスト、主人公佐伯(渡辺謙)とともに、私も真剣に受けてしまいました。最初に言われた3つの言葉、思い出せません。このごろ物忘れが・・・(自分の都合の悪いものだけ、選んで忘れているようですか)
中高年にとっては、映画として楽しむ、感動するといった次元の作品ではありません。切実に老いを実感している者には、「明日の記憶」ならぬ「明日はわが身」です。
主人公が担当医吉田(及川光博)に病気を宣告されるシーンが、こころに焼き付きます。人間は、現実を受け入れ、自分の出来ることに、最善を尽くす。答えは、それしかない。
お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★★
公開初日、中高年のご夫婦が多かった。いかに不安をもっているかの証拠ですね。
フリーパスポート鑑賞最終日 13作目 (12作目は下妻物語)
公式HP 明日の記憶
シネマ日記 ナイロビの蜂 ― 2006/05/16 21:20:03

妻の死の謎を追う夫を描く、社会派サスペンス。
アフリカにおける製薬会社の新薬の人体実験を暴こうとし、そして殺された妻。そんなことなど知らず、幸せな夫婦と思っていた英国外交官の夫。妻の死の謎を追って、その事を教えなかった妻の自分への愛の深さを知る。
映画を観ている時、この設定に違和感を覚えていました。守られていたのは夫であり、男と女の役割が逆になっていたからです。 夫が仕事のことを妻に教えないのは理解でき、妻が夫に教えないのを理解できない、固定観念にとらわれている自分に気づきました。
アフリカの子供たちの映像が、心に残ります。ひとりの子を助けても、解決しない。しかし、ひとりでも助けないと何も解決しない。
お勧め度 ★★ 私の満足度 ★★
アカデミー賞助演女優賞のレイチェル・ワイズ、素敵ですね!
フリーパスポート最終日2作目 通算14作目
公式HPナイロビの蜂
シネマ日記 アンジェラ ― 2006/05/17 23:59:38

リュック・ベッソン最後の監督作品、アンジェラ。
彼は、10本撮ったら映画監督引退と決めていたそうです。 あらすじを書いたのは10年前。それを熟成させて納得のいく最後の作品として送りだす。
借金取りに追い回されるダメ男アンドレの前に舞い降りた天使アンジェラ。なんでこんな’どうしようもない男’に、神秘的な美女から救いの手が差し伸べられるのか不思議ですが、こんな奴にも来るのなら、「自分の処にもやって来てくれるのかなあ」と思わせてくれます。世のダメ男への福音??
夢と現実の間に、繰り広げられる二人の素敵なストーリー。
パリの街並みを背景に幻想的美しさに包まれたモノクロームの映像、アンニャ・ガルバレクの囁くような音楽。美しい!!
お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★★
白昼夢みたいなこの映画、大好きです。「ありえない」ことを楽しみましょう。
フリーパスポート最終日3 作目 通算15作目
公式HP アンジェラ
シネマ日記 恋するトマト ― 2006/05/18 08:23:30

農家の嫁探しの悲喜こもごもをコメディタッチに前半の茨城バージョン。後半はマニラで、朴訥だった主人公が人身売買ばがいの芸能プロダクションのスカウトマンに変貌していく、フィリピンバージョン。
ある日、日本ではもう見られない一家総出の稲刈りの光景に、捨て去ったはずの農業を歓びを思いだし、そこで、ひたむきに働く娘の姿に恋をする。果たして、この恋の結末は?
フィリピンでの日本人の札束攻撃、結納金、ダンサーの支度金。お金が解決していく姿の浅ましさ。旅の恥は掻き捨ての買春ツアー。おじさんたち(私も含め)、考えましょうね。
お勧め度 ★★★★★ 私の満足度 ★★★
このお勧め度は茨城県人向けですが、他県の方も、あったかい茨城弁をお楽しみください。全国順次公開、お近くに来たら是非どうぞ!
フリーパスポート最終日 4作目 通算16作目 TOHOシネマズさん、1ヶ月16本も,ただで観させてもらいありがとうございました。2回目のフリーパスポート、目指し、また通います。
公式情報 恋するトマト
最近のコメント