胡同(フートン)のひまわり ― 2006/12/01 21:46:14
絵画の構図のように、均整の取れた映像と落ち着いた音楽。そして、たんたんと進むストーリー。地味で派手さがなく、驚くべき大事件も起こらないが、カットを丁寧につないだ、いい作品です。
画家だったが、強制労働で手をつぶされた父。息子のシャイヤンの絵の才能に自分の夢を託す。それが、父と子の葛藤のもとでもあった。中国近代化のひずみが、人々の心に残したつめ跡を、考えさせられます。
妻のため、息子のため、家族のために生きた父。強制労働で何を見、何かあったかは、語らない。しかし、最後に、家族をおいて旅に出る。語ることのできない、心の穴の深さなのでしょう。
お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★
観客の年齢層が高い。40代の私が一番若かった。あとの方は、50代、60代、70代とお見受けしました。
水戸リードシネマにて 公式HP 胡同(フートン)のひまわり
武士の一分 ― 2006/12/04 22:14:29
日本的な音の響き、蛙や蝉の鳴き声、秋の虫の音、こんなに美しかったのですね。主人公が視力を失う設定のためか、音の響きが印象に残りました。日常の生活音も、効果的に使われています。
壇れい扮する妻の加世、日本女性の鑑とも思える女性。男性の視点から、理想の女性像を求めた形となっています。女性の視点から見た加世は、どう映るのでしょうか?ちょっと私には、気になりました。
キムタクの時代劇、違和感があるかなと思っていたのですが、いつもの現代劇の雰囲気を漂わせながらも、科白が方言のためか、それなりに合っておりました。失明してからの目の演技は、なかなかなものです。
お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★
「虫の声」は、欧米では単なる雑音として受けとられ、日本人のように楽しむことはないとのこと。そうすると、この映画は、純然たる国内映画となるのでしょうか?
TOHOテアトルひたちなかにて 公式HP 武士の一分
ありがとう ― 2006/12/05 23:10:18
阪神淡路大震災で何もかも失ったカメラ屋のおやじ。なぜが、ゴルフクラブだけが、残っていた。これは、「ゴルフで飯を食え」との神の思し召しと思い、プロテストに挑戦する。還暦ゴルファー古市忠夫の実話を基にした映画です。
前半の震災の被災シーン、涙なくして見る事はできません。観客のほぼ全員のすすり泣く声が・・・。そして、犠牲を無駄にしないために、災害に負けない街づくりを目指す。これだけで、この映画を見る価値は、十分あります。
一転後半は、中高年に夢を与えるサクセスストーリ。メタボリック・シンドロームのあなたも、よし頑張ろう!とその気にさせてくれるでしょう。
お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★
主人公役のイメージは、武田鉄矢か赤井英和。武田は’織金’やってるので、やっぱり赤井で決まりですね。
TOHOシネマズひたちなかにて 公式HP ありがとう
幸福のスイッチ ― 2006/12/07 22:57:24
あなたのこころのスイッチ、オフになっていませんか?
他人を理解しようとしていないくせに、自分を理解してもらうなんて、そんなに世の中甘くない。幸福のスイッチとは、他人のこころに耳を傾けること。そのスイッチをオンにしなければ、他人対する不満で一杯になってしまう。そんなことを、気づかせてくれるハートフル・ドラマです。
和歌山県田辺市の小さな地元の電器店。安売り量販店とないサービスが売りという父(沢田研二)。そんな父と娘の葛藤を、やさしく描く。カサカサな’こころ’の主人公(上野樹理)に、ほんわか潤いが戻るまで。
お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★
和歌山弁の響きがいいです。日本の面積の大部分が’田舎’、都会が中心でなく、田舎が中心ですね。
水戸テアトル西友にて 公式HP 幸福のスイッチ
007/カジノ・ロワイヤル ― 2006/12/10 23:50:27
007は、男のある種の願望の象徴だと、強く感じました。というのは、鑑賞した日がいくらメンズデーといえ、観客の大半が、30代・40代の男性だったからです。世の’おじ様’方が、「チョイ悪おやじ」を目指し、映画館に。
さすが、SONY PICTUERSです。普通、映画の主人公のPCは「マック」なのですが、ボンドは「バイオ」。携帯は、しっかりソニー・エリクソン。
年の暮れ、あんまり難しいことは言わないで、楽しむのには最適な作品かもしれません。それにしてもあの拷問、男にとっての究極の拷問でしたが、後の展開をみると大丈夫だったようで、安心しました。
お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★
エンターテイメントとしての王道、代々引き継ぐ、主人公。6代目ボンドは、ダニエル・クレイグ。これって、TVの「水戸黄門」シリーズと同じことですよね。
TOHOシネマズひたちなかにて 公式HP 007/カジノ・ロワイヤル
硫黄島からの手紙 ― 2006/12/12 21:05:06
戦争とは、「国と国との白黒」の決着をつけるものであり、その唯一のルールは、生身の人間の「命のやりとり」、相手を一人でも多く殺すこと。
戦争の恐ろしさを十分に思い知らされます。これでもかと続く、戦闘シーン。人間が、虫けらのように殺され、そして、生きて虜囚の辱めをけることがないように、自ら命を絶つ。
一番の悪は、戦争を始めること。始めてしまえば、兵士は、自分の命を守るため、愛する人の命を守るため、殺される前に、敵を殺すという、まっとうな論理で行動するだけ。
お勧め度 ★★★★★ 私の満足度 ★★★★
イーストウッド監督の日米の視点からの2部作。しかし、日本側、アメリカ側というより、敵も見方もない、同じ人間の視点からの作品といったほうが、正確ですね。
TOHOシネマズひたちなかにて 公式HP 硫黄島からの手紙
太陽 ― 2006/12/19 23:23:13
ロシア・イタリア・フランス・スイス合作映画。外国人が描く、昭和天皇。イッセー尾形の昭和天皇が、そっくりなのに驚きます。
「天皇陛下万歳!」と言って、玉砕した日本軍兵士。その人は、終戦後、現人神から人間となり、象徴天皇として生まれ変わった。日本人にとって、もっとも取り上げづらいテーマです。
フィクションと現実の中間なのでしょうが、静かに淡々と描かれています。’これぞミニシアター系’。つまらないと思うか、面白いと思うか、あなたの感性次第。
お勧め度 ★ 私の満足度 ★★★
ロシア人のこの監督、ヒトラーとレーニンも映画化しているそうです。「硫黄島からの手紙」と比べて考えたりすると、面白さが増すのでは?
シネプレックス水戸にて 公式HP 太陽
暗いところで待ち合わせ ― 2006/12/23 23:02:17
光を失った女(ミチル)と闇を抱える男(アキヒロ)の殺人事件からはじまった奇妙な共同生活。ファンタジーなラブストーリーとして観ていたのですが、原作はライトノベルのベストセラー、最後に奇妙さの辻褄があうミステリーだったのですね。
「目の見えない女の家に他人が忍び込んで一緒に暮らす」という設定を、田中麗奈(ミチル)とチェン・ボーリン(アキヒロ)が演じていますが、このあり得ない設定を、淡く優しく表現し、ほのぼのとした雰囲気で楽しませてくれました。ミチルが侵入者のために食事を作り、二人一言も交わさないで食べるシーンなんて、なかなか素敵でした。
お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★
ミステリー部分は、その人の好みによると思います。私はあんまり要らないほうです。
シネプレックス水戸(12/14)にて 公式HP 暗いところで待ち合わせ
犬神家の一族 ― 2006/12/24 21:19:40
石坂浩二の若さには、驚きです。走ってます。「水戸黄門」のご隠居様をご卒業なさった方とは、思えません!
豪華なキャストは、見事です。カメオ出演者もたっぷり。濃ーい演技を十分堪能できます。市川崑監督のセルフ・リメイク、安心して楽しめる作品ですね。
終戦直後の雰囲気を、今の若い方々がどこまで理解できるのか、ちょっと心配でしたが、やはり観客の年齢層は、高かった。
お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★
監督・出演者の年齢の高さは、高齢化社会の日本を映すかのようです。しかし、洋画でも、ロバート・レッドフォード、アンソニー・ホプキンス、石坂浩二よりも年上が、まだまだ主役を張ってます。
TOHOシネマズひたちなか(12/21)にて 公式HP 犬神家の一族
Oi(オイ)ビシクレッタ ― 2006/12/29 22:16:41
一家7人自転車4台で、リオデジャネイロを目指し、3200キロの職探しの旅。ブラジル人家族の実話を映画化。
誇り高き失業者のロマンは、妻と子供5人を引き連れ、あまりにも無謀・無計画な自転車の旅を決行。この一家のエネルギー、飽満社会の日本では、生まれることのない’力’です。
「物乞いはしても、泥棒はしない。」主人公のロマンは、いい加減な男のなのですが、しかし、人としての基本は、しっかりしている。教会の献金箱のお金を盗んでしまった長男を諭したりします。家族の悲喜こもごもをお楽しみください。
お勧め度 ★★ 私の満足度 ★★★
たばこを吸うことで、一人前の男になる。この映画では、たばこのシーンが数多くありますが、意味を持たなくなる日も、近くなりそうですね。
水戸リードシネマ(12/24)にて 公式HP Oi(オイ)ビシクレッタ
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