シネマ日記 白バラの祈り2006/06/15 23:59:21

制度とは道具であり、道具は意思を持たない。だが、使う人間の意思を表す。ナチスドイツにも無論、裁判制度はあり、裁判官、検事、弁護士が揃っていている。制度的としては、公平な裁判が保障されている。しかし、そこで行われた裁判とその判決は、ナチスドイツの狂気の意思を見事に表したものだった。

実話にも基づく、ナチスドイツに毅然として反抗した女学生ゾフィーの5日間。

調査官ロベルトとゾフィーの尋問シーンで、ナチス側のロベルトが特殊な人間でなく、常識的な人間であり、狂気とは無縁の人間として描かれている。この現実が、恐ろしくもあり、また、救いの手がかりと感じとれました。

お勧め度 ★★★★★  私の満足度 ★★★★

ラストの映像の衝撃を、しっかりと受け止めたい作品。鉛を心臓に打ち込まれます。

TOHOシネマズひたちなかにて

公式HP 白バラの祈り

シネマ日記 戦場のアリア2006/06/07 21:53:03

第一次大戦のクリスマス・イブ。戦争の最前線で起こった奇跡。それは兵士たちのクリスマス・キャロルをきっかけに、成しえたフランス軍、スコットランド軍、ドイツ軍のクリスマス休戦、事実に基づいた物語です。

音楽とは、心のなかにある「人間性」を呼び覚ます扉。主義、主張、宗教、国境を超えた’その扉’に鍵をかけられない。

敵国の人間を同じ人間と認識する。たったそれだけで、戦争の無意味さが理解できる。しかし、それが出来ない人間の愚かさ。そして、それが出来た時、奇跡して語り継がれる。

戦場に兵士送る人と、戦場で戦う人。戦争の本当の敵は、敵国の兵士ではなく、戦場へ兵士を送る人たち。聖戦を口にして兵士を送り出す司祭の言葉の、なんとむなしいことか。

お勧め度 ★★★★★ 私の満足度 ★★★★★

こんなにいい映画なのに、上映がある都道府県が23しかないとは、寂しいかぎり。ちょっと遠くでも足を延ばし、ご覧下さい。     シネプレックス水戸にて

公式HP 戦場のアリア

シネマ日記 サウンド・オブ・サンダー2006/03/26 15:52:47

サウンドオブサンダー

「進化は、人類など求めていない」 近未来もの好きの私は、 このコピーに惹かれ、公開初日に観てしまいました。

2055年、主人公は、タイムトラベル会社の研究員兼ツアコン。金持ちたちの恐竜ハンティングを仕切っている。しかし、時間旅行の過去を一切変えないというルールを、ツアーの客が破り、これまでの生物の進化が変更され、生態系の大異変が押し寄せる。人類滅亡の危機。

現在、お金持ちが宇宙旅行の予約をしています。宇宙旅行に失敗し、勝手に死ぬのは構わないのですが、この映画みたいに、無事帰還し、地球の生態系を破壊することをしないようにと祈ります。

お勧め度 ★  私の満足度 ★                    危機を救うのも主人公たちですが、危機を起こしたのも主人公たち。この点がひっかかり、ストーリーに共感できませんでした。救われない方が、現実感が増したのでは?

102マイル獲得合計5845 6000マイルまであと155

公式HP サンド・オブ・サンダー

シネマ日記 SPIRIT2006/03/21 15:51:55

スピリット

「激しく、美しく、そして、味わい深く」

ジェット・リーのアクションを存分に堪能でき、しかも、物語のある映画でした。アクションだけのカンフー映画でなく、実在の武術家を基に、その一生を描いております。

天津一の武術家を目指し、達成した代償は、あまりにも酷いものであった。闘いを離れ、はじめて’武術’の意義を知る。 そして、欧米列強国へ中国国民の精神を示すため、異種格闘技戦で闘う。

人間から、「驕り」は取り除くべきもの。そして、「誇り」は必要なもの。

「男たちの大和」と同じく、’日本男児ここにあり’という役柄で 中村獅堂が頑張ってます。

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★           ジェット・リー最後のマーシャルアーツ映画と言われれば、観ないわけにはいかないですね。

104マイル獲得合計5618 6000マイルまであと382

公式HP SPIRIT

シネマ日記 シリアナ2006/03/06 22:05:17

シリアナ

なぜ神は、荒涼とした中東の砂漠の下に油田や天然ガスを眠らせたのでしょうか。そして、その神とは、アラーなのか、キリストなのか?

常に仮想敵国を求め続け、世界の5%の人間で、世界の50%の軍事費を使う国、アメリカ。 世界の原油生産量の36%、埋蔵量では61%を占める中東諸国。エネルギー資源は、先進諸国の生命線を握る。

中東情勢の予習をしてから観て下さい。説明なしにどんどんストーリーは、進んでいきます。 しかし、この現実を、世界の人々は知らなければならないのでしょう。

お勧め度 ★★  私の満足度 ★★★

体重を13キロ増加させ、中年諜報部員を演じたジョージ・クルーニー、第78回アカデミー賞助演男優賞、見事受賞!

126マイル獲得合計5161 6000マイルまであと839

公式HP シリアナ

シネマ日記 ジャーヘッド2006/02/25 08:35:13

不遜な言い方をすれば、戦争は祭り、兵隊は神輿の担ぎ手。そして、祭りの後、人の心に残るもには、なんなのか?

海兵隊の訓練での、すさまじい洗脳教育。どうすれば、生きられるか。どうすれば、生きるために相手を殺せるか。 海兵隊員たちが「地獄の黙示録」を観るシーンがあるのですが、この映画を「こんな見方があったのか」と、あ然とさせられます。

ジャーヘッドは、愛国心と家族愛を煽る映画でもなく、戦争の悲惨さだけを描く反戦映画でもありませんでした。

戦争を与えられた時、普通の人が過酷な状況に対応するため、どのように人間性を変化させるのか。また、普通の生活に戻った後、それを体験してしまった人間は、埋めようのない穴を心に残していくことを教えてくれます。

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★ - T.レックスの「GET IT ON」をバックに戦争したら、機関銃ぶっ放したくなるのは、当然?

123マイル獲得合計4780 6000マイルまであと1220

公式HPへ ジャーヘッド

シネマ日記 スタンドアップ2006/01/21 12:55:30

「North Country」、邦題が「スタンドアップ」。観終われば、なるほどと納得します。

’PARTICIPANT PRODUCTIONS’ アメリカのネット・オークション’イーベイ’創業者の一人が、映画を通し社会をより良くするために興した会社の作品です。

主人公役のシャーリーズ・セロンは、15歳のとき、家庭内暴力を振るう父を母が射殺する(正当防衛で無罪)というつらい体験をしており、ただのお嬢様女優ではできない役を見事に演じております。 家庭内暴力・セクシャルハラスメントの問題を真正面から取り組んだ、見ごたえのある作品です。

これらの問題を乗り越える、答えは ・・・    鉱山の労働組合員集会での、主人公の父の演説シーン。

この映画で答えの”一つ”は得られると思います。

お勧め度 ★★★★★ - 何をやってもうまくいかないと思っていいる方は、是非観て下さい。

124マイル獲得合計3809 6000マイルまであと2191 

スタンドアップ | http

シネマ日記 SAYURI2005/12/24 23:23:56

中国と日本をミックスしたオリエンタルではあるが、ジャパニーズではない映画。しかし、予想していた違和感は、意外に気になりませんでした。

母国語が英語の方のために、日本の美しいシーンを”濃ーい”味付けでスクリーンに展開させてくれます。

メインキャストがチャン・ツィイー、ミシェル・ヨー、コン・リーですから、舞台を日本に借りたハリウッド映画として、十分楽しめました。日本人女優を主人公にしていたら、日本映画と観てしまい楽しめなかったでしょう。(スピルバーグさんが、そんな愚かなキャストするはずないでしょうが)

日本人俳優もがんばっていました。そのなかで一番は、子役の大後寿々花ちゃんかな。

お勧め度 ★★★★ - 日本映画ではないので、なにかしっくり来ない方もいるかも。でも、この映像美はハリウッドならでは。

スタンプラリー招待のため加算なし6000マイルまであと2919

SAYURI | http

シネマ日記 ソウ22005/11/02 21:21:04

ソウの続編。期待を裏切らない上出来の作品です。観客は男性が9割。帽子を被っている人がなぜか多かった。

この映画、ぜんぜん雰囲気は違うのだけれど、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を思い浮かべました。人間のエゴをむき出しにした行動。自分だけがこの地獄から助かりたい。それがかえって災い、苦しみの果てに死んでゆく・・・

なんでこのような残酷なシーンの続く映画がつくられるのか、疑問を抱くほどですが、それを望む観客がいることが、答えなのでしょう。人間の愚かさを直視させられます。

お勧め度 ★★ - 自分に住んでいる”悪魔”に会いたい方はお勧めですが、会いたくない方もいそうなので。

94マイル獲得合計1807 6000マイルまであと4193

ソウ2 | http

シネマ日記 サウンド・オブ・ミュージック2005/10/14 22:53:05

ひたちなかのプレミアスクリーンで,今週のみの上映でした。

観客の年齢層は、お年寄りから若者まで幅広く、さすが「名画中の名画」といったところです。

スタンダードナンバーのオンパレード。ハッピーな音楽の満載です。 My Favorite Thingsが流れ出すだけで、幸せな気分になれますよ。 (京都に行こうなんて、JR東海のCMで使っている”あの曲”です)

主人公のマリアと大佐の愛を告白しあう場面があるんですが、とろけるように甘く素敵なシーンとなっています。

ナチスドイツの台頭の時代背景といったシリアスな問題を含み、ただ甘いだけの映画でないのも、いいですね。

お勧め度 ★★★★★ - 映画好きな、あなたへ。 まだ観たことない方は、DVD等で必ず観てね。これを押さえずして、映画は語れません。

174マイル獲得合計1393 6000マイルまであと4607

来週は「タイタニック」を観ます。