シネマ日記 白バラの祈り2006/06/15 23:59:21

制度とは道具であり、道具は意思を持たない。だが、使う人間の意思を表す。ナチスドイツにも無論、裁判制度はあり、裁判官、検事、弁護士が揃っていている。制度的としては、公平な裁判が保障されている。しかし、そこで行われた裁判とその判決は、ナチスドイツの狂気の意思を見事に表したものだった。

実話にも基づく、ナチスドイツに毅然として反抗した女学生ゾフィーの5日間。

調査官ロベルトとゾフィーの尋問シーンで、ナチス側のロベルトが特殊な人間でなく、常識的な人間であり、狂気とは無縁の人間として描かれている。この現実が、恐ろしくもあり、また、救いの手がかりと感じとれました。

お勧め度 ★★★★★  私の満足度 ★★★★

ラストの映像の衝撃を、しっかりと受け止めたい作品。鉛を心臓に打ち込まれます。

TOHOシネマズひたちなかにて

公式HP 白バラの祈り

コメント

_ ミチ ― 2006/06/17 07:37:24

こんにちは♪
ラストの暗闇に響く音は怖かったです。
ナチスものは絶対に欠かさないのですが、この作品から受ける衝撃は凄まじかった。
いまのところ今年のベスト3に入っています!。

_ skywave ― 2006/06/17 08:13:40

>ラストの暗闇に響く音は怖かったです。
あれは、ゾフィーを断罪したのではなく、それを許してしまった者たちへの断罪(映画の観客を含めて)。そんな恐ろしさも感じました。

トラックバック

_ ノラネコの呑んで観るシネマ - 2006/06/17 00:56:34

真の英雄は戦場や革命の先頭にいるとは限らない。
英雄という存在が、自己の良心と信念に基づいた行動を貫き通した人間だとすれば、ゾフィー・ショルは正しくその称号に相応しい。

_ ネタバレ映画館 - 2006/06/17 01:03:48

 白バラのゾフィーのように信念を貫き通すこと。そんなことが若い頃の自分にできたであろうか。

_ 我想一個人映画美的女人blog - 2006/06/17 01:41:58

夏に公開された「ヒトラー〜最期の12日間」では、
ヒトラーの残虐さ,惨さを映画として観る(知る)ことが出来た作品だった。
この映画の中でタイピストをしていた秘書の女性が
「自分と同い歳のゾフィーの存在を知って、初めて罪に目覚めた」と衝撃的な発言をしていたんだけど、こちらの「白バラの祈り」では
当時、ヒトラー打倒を市民に呼びかけた実在のグループ「白バラ」に所属したミュンヘン大学の女学生、そのゾフィーを軸として描いた実話で
逮捕されてからたった5日で処刑された彼女の勇気を描いた作品。

第55回ベルリン国際映画祭のワールドプレミアでも大絶賛、3部門の賞を受賞。その他、ドイツ映画賞も独占。
第78回アカデミー賞の外国映画賞ドイツ代表にも選ばれた {/hakushu/}

過去に同様のテーマで作られた作品と比較すると、
82年の「白バラは死なず」は抵抗グループの全体を描いた作品。
もう1本パーシーアドロン監督作品(観てないけど)82年の「Funf letzte Tage」では
同様の時代で、ゲシュタポ刑務所のゾフィーの同房者、エルゼゲーベル視点で捉えた映画。

今回、ずっと未公開になっていたという
ゲシュタポ尋問の原文記録が1990年になってやっと公開された事によって、
監督のマルクローテムントはこの映画製作に踏みきったよう。

謎だった過去が明らかになって、事細かに再現されたといっていい。

1943年のミュンヘン。ヒトラー独裁政権も末期的な局面を迎えた頃。
映画は、戦争終結とヒトラー批判を叫ぶ"白バラ"なるグループに属する二人の兄弟が、
定期的に配っているビラを学校構内に置きに行くところからスタートする。


悲劇はここから。



とにかく、尋問が長い!{/ase/}




忠実に、じっくり作ったという意気込みは伝わるけど
映画の半分以上1時間は続く。。。。。。
(実際には、最初の尋問で5時間も!)

真剣に引き込まれて観てても正直、集中力が一時でもゆるむともうダメ、
ウトウトしそうになっちゃう。

それでも、
頑なに無実を主張していたゾフィーも決定的な兄の自供、尋問記録によって打ち砕かれていって
ついには認めざるをえなくなる。。。
勇気ある、哀しい決断。最期のたばこ、最期の抱擁、
ラストの30分ではグイグイ引き込んでいく。

弱冠21歳のごく普通の女学生の熱意

_ 平気の平左 - 2006/06/17 02:02:27

評価:80点{/fuki_cool/}

白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々

反ナチスのグループ「白バラ」に所属したミュンヘン大学の女学生、そのゾフィー・ショルの最期の5日間を描いた作品。

これは中々すごい映画でした。

是非、「ヒトラー 最期の12日間」とあわせて観て欲しい作品ですね。


この映画、長い長いとは聞いていましたが、ホント尋問シーンが長い。

すみません、2分ほど別の世界に行ってしまいました。

これ観た時ちょっと2日酔いだったので許してください。

しかし、そんな睡魔との闘いを差し引いても、よい映画です。

よく出てくるのは、「良心」という言葉。

「良心」があれば、ナチスの非道な活動は出来ないはず、と説く。

そうなんですけど、それを気づくのが一番難しいんですよね。

以下、ネタバレあり





この映画で一番印象的だったのが、ゾフィー・ショルの尋問模様(いや、少し寝たんですけどね)。

アレクサンダー・ヘルト演じるゲシュタポのモーア尋問官対するやりとりと、アンドレ・ヘンニック演じる裁判官フライスラーに対するやり取りが対照的でした。


モーア尋問官の方は、「自分がいい生活を出来るのはナチスの世の中だから」という考えが根底にあるようです。

モーア尋問官は、ゾフィー・ショルの主張に、自分の価値観を揺さぶられるのを感じてしまいます。

ゾフィー・ショルの主張が真っ当すぎて、良心がうずいたのでしょうね。

だからこそ、取引を持ちかけたり、最期に刑務所まで行ったりしたのだと思います。

ゲシュタポという職業にありながら、まだ人としての心は持っていたのでしょう。


それに対して、裁判官フライスラーの方は完全に狂気の渦の中心にいましたね。

自分の一方的な価値観の押し付けによる裁判は、狂気の中にいるから、出来ることです。

「元共産党員」という自分の中の引け目が、狂気をおし進めたのでしょう。

こちらは良心のかけらもありません。


この2人の名演はかなり光ってましたね。



あと、印象的だったのは、

ゾフィー・ショルが死刑の執行猶予がないと知り、監獄で一人泣き崩れるシーン。

また、ゾフィー・ショルと両親との面会のシーン。

「誇りに思っている」という父親の言葉には感動しました。

ラストの断頭台は、すごい凹みますね。




色々と

_ ミチの雑記帳 - 2006/06/17 07:48:23

映画館にて「白バラの祈り  ゾフィー・ショル、最期の日々」★★★★★

数多くのナチス関係の映画を見、本を読んできたけれど、また素晴らしい映画に出会った。
ヒトラー政権を批判した実在のグループ“白バラ”のメンバー、ゾフィー・ショルが逮捕され、5日間の短い尋問の末判決、処刑に至るまでを描いた史実に基づくストーリー。

映画のほとんどがゾフィー(ユリア・イェンチ)とゲシュタポの尋問官モーア(アレクサンダー・ヘルト)の一対一の尋問シーンであり、その5日間の尋問で二人の態度や心情が刻々と変わっていくのが見所!
最初ゾフィーはあくまでも自分は無関係と言い張り、うまく尋問官の質問もかわして釈放寸前まで行った。
ところが、新たな証拠が出てくるに及んで尋問が再開される。ゾフィーの態度はここで一転する。もはやなんら隠すことはせずに堂々と自分の行動を認め「誇りに思っているわ」と胸を張る。彼女のあまりに敢然とした態度、信念に基づいた受答え、まっすぐな眼差しにはこちらがたじろいでしまうほど。どこにそんな強さが潜んでいたのだろう。
一方、尋問官のモーアも態度を変化させていく。ゲシュタポといっても彼の役目は尋問して調書を作ること。決して積極的にナチスに加担してきたとはいえない彼は、自分の息子が東部戦線で戦っていることもあり、しだいに弱さを見せるようになる。「なぜ若いのに謝った信念のために危険を冒す?」とゾフィーに諭すように、逃げ道を与えるようになっていく。

そして怒涛のように「人民法廷」のシーンへ。「人民」とは名ばかりで「ナチス高官」しか出席していない場で、裁判長は叫ぶ。
「全面戦争しかないんだ! 武力の嵐でドイツは浄化される!」敗戦色濃厚な時期においてまだこのような狂気に満ちた思考をしているとは、本当に恐ろしい。

死刑に決まったあと、ゾフィーは99日間の猶予があると思っていた。しかし、牢の係に「お別れの手紙を書きなさい」と促され、“死”はすぐそこにあると知ったときのゾフィーの絞るような叫び声に私の身体も震えた。あの時彼女は悔いただろうか?いや、悔いた叫びではなかったと思う。「お前は正しい。誇りに思うよ」と娘と息子を死刑で失う両親が声をかけるところは涙が止まらない。

ゾフィーが窓から陽の光を見るシーンが何度も繰り返し出てくる。彼女はその光に希望を見ようとしたのか、救いを求めていたのか。静

_ シャーロットの涙 - 2006/06/17 08:38:37

ゾフィー・ショル、21歳。ヒトラー打倒を市民に呼びかけた実在のグループ「白バラ」の紅一点。・・・素顔は青春を謳歌するミュンヘン大学に通う一女学生。

1943年。ヒトラー独裁政権末期。非道な戦争を終わらせたいと誰もが言いたくても言えなかった時に、国民に「自由」を呼びかけた「白バラ」。
ゾフィーはそのメンバー達の唯一の女性だった。

素顔はビリー・ホリディやシューベルトを愛し、普通に恋をしている多感な女の子。その彼女が兄のハンスと友人のクリストフと共に反ヒトラービラを撒いた為に逮捕され、1943年2月22日で処刑されるまでのわずか5日間の真実を追っていく。

人民法廷で「大逆罪」で死刑を宣告、即日処刑された。
そのベールに包まれた異例のスピードの早さの裁判と執行猶予のなさを、その時の当事者たちの心情と、何がそんなに早い裁判とさせたのか、ナチスは何を恐れていたのか、東ドイツで発見された資料を基に映画化された実話である。

なんと言っても見所は尋問官アレクサンダーヘルト演じるモーアとの心理的駆け引きと、アンドレ・ヘンニック演じる狂気の裁判長フライスラーとの裁判での対決シーン。

モーアに最初は無実を通していたゾフィー。この時の冷静さにはさすがのベテラン尋問官も信じてしまうくらいで、饒舌かつ気転の良さが際立つ。
ビラを撒いた事を認めてからの二人のやり取りには、目が離せないほどスピーディに駆け引きが進む。

音楽は全くなく、二人を交互に追うカメラ。映像を楽しむ作品ではないと思わざるを得ないところが厳しい条件下で、一歩間違えれば単調である為に疲れてしまうような感じ。心理的にはかなり引き込まれるが台詞に集中できないとかなり把握するのには厳しさがあると思う。
↑この辺は作品を理解するのに個人差が出そうかしら。

モーアとのやり取りも冷静で自己を最後まで守り通し信念に従っていく様は、モーアにとっては自分の息子も戦争の前線に送っていることとあいまって、同情ともとれる取引を促す事になっていく。それでもゾフィーは屈せず、自分に正直でありながらも仲間を守り通そうともする。

そんな姿に彼女の底知れぬ意志の強さと、真の自由と平和を願う一途な想いを感じて、私はただただ感心すると共に羨望のまなざしをおくってしまうのである。


裁判のシーンにいたっては、ただの世間への見せしめ的でもあり、聞く耳を持

_ ラムの大通り - 2006/06/17 09:44:29

----これも実話なんだって?
「そうだね。ヒトラー政権末期の1943年。
『打倒ヒトラー!』の文字を町中に書き、
郵便やビラで国民に自由を呼びかけた
“白バラ”と呼ばれた若者たちのグループ。
その紅一点、ミュンヘン大学の女学生
ゾフィー・ショルの最期の日々を描いたドイツ映画なんだ」
----ヒトラー関連のドイツ映画って今年、他にもあったよね。
「『ヒトラー〜最期の12日間〜』だね。
あの映画のラストで、
ヒトラーの元タイピストの女性が
自分と同じ年のゾフィーの存在を知って
初めて罪に目覚めたと語っているけど、
そのゾフィーこそがこの映画の主人公と言うわけだ」
----ふん。つまりレジスタンスの話ってことだよね。
「うん。映画はゾフィーと兄のハンスが
ミュンヘン大学構内でビラ撒きをして見つかり、
逮捕、ゲシュタポの尋問、
人民法廷での裁判、そして処刑されるまでを描く」
----確か、こういう実話ものって
描かれているものが事実と合っているかどうかに関心が集中して、
映画そのものの魅力への言及がされにくいって言っていた記憶が…。
「うん。そのことについて監督はこう答えている。
『幸運にも我々が得た事実は
我々を夢中にさせるものでした』と。
この<白バラ>の話は過去にも何度か映画化されているけど、
本作は90年代になって東ドイツで発見された
ゲシュタポの尋問記録が軸となっている。
そのため映画は、かつてのように
ゲシュタポをステロタイプには描いていない。
ゾフィー・ショルを尋問したゲシュタポのロベルト・ムーア。
アレクサンダー・ヘルトの好演もあり、
その屈折した心理描写がじっくり描き込まれている。
ゾフィーはどんなに詰問されても、
冷静に理路整然と自分の潔白を訴えていく。
そのため、ムーアは最初彼女が無実と信じ込むんだ」
----うわあ、それってスゴくない。
相手はゲシュタポなのに、よく一介の女子大生がそんなことできたね。
えいには無理でしょう?
「うん。自分に置き換えてみて、少し情けなくなったね。
果たして、このようなとき自分だったらどう反応するかってね…。
それはともかくとして映画の話に戻ろう。
釈放寸前でゾフィーはビラ撒きに関わっていた証拠が見つかる。
それでも無関係を主張していたゾフィーだが、
兄の自白と言う絶対的証拠を突きつけられてからは
一転して反撃に出る。

_ かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY - 2006/06/17 12:48:15

21歳のゾフィー・ショル信念の強さ、その勇敢さに強く心をうたれる。

1943年のミュンヘン。“打倒ヒトラー”を呼びかける組織「白バラ」のメンバーであるゾフィーと兄ハンスは、大学構内でビラをまいているところを見つかり、ゲシュタポに連行される。ビラを配って逮捕されるというのは、よその国の遠い日の出来事でもなく・・。

ヒトラー政権下で反政府活動を繰り広げた学生グループ「白バラ」。その紅一点ゾフィー・ショルがゲシュタポに逮捕されて、「大逆罪」を宣告され、21歳の短い生涯を終えた。「白バラ」はこれまでも何度か映画の題材になっていたが、90年代に新たに発見されたゲシュタポの尋問記録や裁判...

_ シネマでキッチュ - 2006/06/24 08:43:12

ドイツ映画「白バラの祈り~ゾフィー・ジョル、最期の日々」。 魂を深く揺すぶられました~。 若い純粋な理念と勇気が眩しい。 流されているような日々の中でもそのエッセンスだけは忘れずにいたいと思う。 ヒトラー政権時代に「ヒトラー打倒」を掲げた抵抗グループ“白バラ”。 その白バラの女性活動家だったゾフィー・ジョルが大学構内でビラをまき逮捕される。そして数日取調べを受けた後、大逆罪の判決により即日死刑に

_ playtcafe*cinemaartbook  - 2006/07/26 23:16:53

白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々― 121minstoryヒトラーの第三ドイツ帝国を失脚させるべく、レジスタンス組織「白バラ」が結成された。ゾフィー・ショルは、唯一の女性メンバーとしてグループに入る。1943年2月18日。ゾフィーは大学で反戦チラシを配っていた...

_ 映画とはずがたり - 2006/09/27 21:19:53

ヒトラー政権下で反ナチスを掲げ、
抵抗運動を行なった学生グループ“白バラ”の紅一点、
ゾフィー・ショルの壮絶な最期を描いた真実の物語!

STORY:1943年のミュンヘン。
“打倒ヒトラー”を呼びかける組織「白バラ」のメンバーである
ゾフィー(ユリア・イェンチ)...

_ Akira's VOICE - 2006/11/16 16:56:05

永遠に語り継ぐべき若き女性の気高い勇気の行動。

_ 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ - 2007/01/05 00:24:14

あらすじ1943年、ドイツのミュンヘン。ヒトラーによる圧制を疑問視するハンスとゾフィーの兄妹は反ナチス組織"白バラ"のメンバーに加わっていた。そんなある日、ゾフィーは大学構内でビラをまいているところを見つかりゲシュタポ将校に連行されてしまう。やがて尋問官...

_ 映画、言いたい放題! - 2007/02/19 03:56:13

脚本ゼミの友人に2006年の№1映画を聞いたら
この作品を勧められました。
DVDで鑑賞。

1943年、第2次世界大戦、ヒトラー政権下のドイツ。
反政府活動グループ「白バラ」の
紅一点にして最年少メンバーだったミュンヘン大学の学生のゾフィー・ショルは
同じくメンバーであ