胡同(フートン)のひまわり2006/12/01 21:46:14

絵画の構図のように、均整の取れた映像と落ち着いた音楽。そして、たんたんと進むストーリー。地味で派手さがなく、驚くべき大事件も起こらないが、カットを丁寧につないだ、いい作品です。

画家だったが、強制労働で手をつぶされた父。息子のシャイヤンの絵の才能に自分の夢を託す。それが、父と子の葛藤のもとでもあった。中国近代化のひずみが、人々の心に残したつめ跡を、考えさせられます。

妻のため、息子のため、家族のために生きた父。強制労働で何を見、何かあったかは、語らない。しかし、最後に、家族をおいて旅に出る。語ることのできない、心の穴の深さなのでしょう。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

観客の年齢層が高い。40代の私が一番若かった。あとの方は、50代、60代、70代とお見受けしました。

水戸リードシネマにて 公式HP 胡同(フートン)のひまわり

コメント

_ ミチ ― 2006/12/04 23:31:27

こんにちは♪
あんなに反抗していた息子も結局は父と同じ絵の道を歩むんですよね。
そして、ラストの父親の行動は驚きました。
妙に新しい流れのように感じました。

_ skywave ― 2006/12/05 21:51:20

こんにちは、ミチさん。
>そして、ラストの父親の行動は驚きました。
年老いた父親の旅立ち。一つの家族は解体されたが、シャイヤン自身が父親となる新しい家族が生まれた。これも一つの回答ですね。

トラックバック

_ ネタバレ映画館 - 2006/12/03 21:24:30

胡同(フートン)が吹っ飛んだ。枕が真っ暗・・・

_ カノンな日々 - 2006/12/03 22:32:28

胡同はフートンって読みます、中国は北京にある下町の名です。父子を描いた中国の感動作っていくつか思い出されるけど中でも私は「北京ヴァイオリン」が大好きなんですが、この作品も父と子の物語をメインに60年代後半からの中国現代史を背景にある家族のドラマ描いた感動の....

_ ミチの雑記帳 - 2006/12/04 23:28:26

映画館にて「胡同(フートン)のひまわり」

近代中国の変動を親子30年の歩みに重ねた、チャン・ヤン監督の人間ドラマ。

胡同(フートン)とは北京の伝統的民家、四合院が立ち並ぶ路地の事。北京オリンピックを前に近代化のため姿を消そうとしている。

1976年から30年に渡る中国の近代史は揺れに揺れる。文化大革命〜大地震〜毛沢東の死〜自由化の波。その時代のうねりは市政に生きる人にも大きな影響を与えた。

強制労働から6年ぶりに帰ってきた父(スン・ハイイン)に対して息子のシャンヤンはなかなかなつかない。息子に絵の才能を見い出した父は、自分の夢を託すべく絵の勉強を強いる。遊びたい盛りの子供にその指導は厳しすぎて息子の反発心を煽るだけ。
私も人の親だから親目線で見ると、この父の気持ちがよく分かる。本当に心から息子を愛しているし、「彼のため」と思ってやっている。ただ、そのやり方が上手くないし、あまりにも頑固すぎるのは問題。一方子供目線で見ると、「息子のため」というのは自分の夢の押し付けに他ならず、あまりにウザい。

そんな父子がある時ふと心を通わすシーンがある。
地震で水が不足しているので父子は川へ洗濯兼水浴びに行く。午睡から覚めると父の姿がない。不安になった息子は「父さん!」と大声で泣きながら父を探す。その時まで息子は父の事を「父さん」と呼んだことがなかった。初めて「父さん」と呼ばれて耳を疑い、その言葉を噛みしめるように聞き入り、すぐには姿を現さなかった父の姿に嬉しさがにじんでいた。

もちろん、その後も父と息子の確執は続く。学生時代の淡い恋も引き裂かれ、結婚しても子作りを強要され、いくつになっても親の圧力と管理が強すぎて見ていて苦しくなってくる。これはお国柄なのか時代なのか、それともこの父が特殊だったのか。ただ、シャンヤンはどうにか絵は続けていった。絵画展で父子は硬い握手を交わす。父が息子を認めた瞬間だった。

もう思い残す事のない父親の行動は本当に意外だった。
“自分のために生きる”という考え方はとても新しく感じる。
やり方は間違っていたにせよ、父に本当に愛されていた事を知るシャンヤン。ラストシーンの家の前に置かれたひまわりに感動があふれ出す。どこからか父が見守ってくれているような温かい余韻を残すラストだった。

他にも印象に残るのは市井に生きる人の逞しさ。大地震の後てきぱ

_ 銀の森のゴブリン - 2006/12/28 11:58:44

2005年 中国 2006年7月公開 評価:★★★★★ 原題:向日葵監督、脚本:

_ 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~ - 2007/07/14 16:38:52

原題:Sunflower/XIANG RI KUI/向日葵
フートンのひまわりは太陽に向かって力強く育つ、父親には文化大革命で強制労働に駆り出された厳しい背景、そして父と息子、家族の30年が綴られる・・・



1976年北京の胡同(フートン)、9歳のシャンヤン(向陽:チャン・ファン)