涙そうそう2006/10/06 23:27:58

恋から愛へは、あり得るが、愛から恋へは、あり得ない。沖縄を舞台に、妻夫木聡と長澤まさみの二人に魅せられる、血の繋がらない兄弟の、悲しい愛の物語です。

兄洋太郎は、あくまでも優しく。妹カオルは、あくまでも可憐。 人間の性(さが)が出る前に、身を引いていく。そして、誰も傷つけまいとする。音楽と映像が、その姿を追って行きます。

観終わってみると、この作品は一編のファンタジーとだ感じました。この夢のように、優しい二人の原点は、エンドクレジットの後、現れます。最後まで席を立ちませんように。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

沖縄弁の柔らかな響きが、心を温かにしてくれます。

TOHOひたちなかにて 公式HP 涙そうそう

マッチポイント2006/10/07 20:31:56

ウッデイ・アレン監督のストーリ展開の罠に、もてあそばれてください。

まんまと上流階級の娘婿になり、のし上がったクリス(ジョナサン・リース・メイヤーズ)。しかし、好事魔多しのごとく、ノラ(スカーレット・ヨハンソン)の色香に惑い、情事にふける。ノラの妊娠により、すべて失いそうになる。ノラさえ、いなければ・・

人生の歯車を狂わせるのは、「運」。テニスのボールがネット当たり、どちら側に落ちるのか。グットラックかバッドラックか。 神様は、人間を見ている様で見ていない。そもそも、神様がいるのかどうか・・という結末が。

落語の人情話を裏返しにした「オチ」をお楽しみに。

お勧め度 ★★ 私の満足度 ★★★★

ジョナサンとスカーレットの美男美女の競演。彼のスーツ姿のカッコいいこと。ビッシッと決ってます。日本の疲れたサラリーマンの姿とは、月とすっぽん。

シネプレックス水戸にて 公式HP マッチポイント

ワールド・トレード・センター2006/10/09 17:31:25

9.11を題材にしていますが、人間の命の大切さを訴えるオーソドックスなヒューマンドラマです。

崩壊したWTCのなかで、生き埋めとなった港湾警察官の二人が、奇跡の生還をとげるまでの実話を基にした作品。「ユナイテッド93」の、9.11の意味を探るような観点は、排されています。

もし、救出に失敗したら、1人を救出するために、それ以上の犠牲者がでる。ただの数の問題だったら、助けに行かない方が、死者は少なくなる。しかし、助けを求めている者がいる限り、命を懸けて助け出す。それが、人間の本性と信じたい。

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★

WTCの崩壊の恐ろしさに、唖然とさせられます。北朝鮮の核実験実施、ヒロシマ・ナガサキの恐ろしさを伝える映画の必要性を感じました。

TOHOシネマズひたちなかにて 公式HP ワールド・トレード・センター

カーポティ2006/10/14 21:50:43

絶対、カーポティの「冷血」を読んでから観てください。

一家惨殺殺人犯の死刑囚ペリーに近づき、信頼関係を築いていくが、それはあくまで、ノンフィクション小説を書くため。「冷血」を書き上げるまでを、再現した作品です。

アメリカでは、誰でも知っている作家。しかし、日本では、名前だけは知っている作家。この違いが、この映画に引き込まれるかどうかの分かれ道なのでしょう。アカデミー主演男優賞受賞、フィリップ・シーモア・ホフマンの本人そっくりという演技も、わかりません。

しかし、カーポティとペリーの刑務所での会話、迫力があります。クロースアップでの二人のカット・バック。ペリーは残忍な殺人犯ですが、彼を利用しようとするカーポティは、さらに残忍なのでしょうか?

お勧め度 ★★ 私の満足度 ★★★

私はこれから「冷血」を読みたいと思います。

公式HP カーポティ

ローズ・イン・タイドランド2006/10/15 20:16:05

’ギリアム・ワールド’が戻りました。「ブラザーズ・グリム」では裏切られましたが、夢と現実の境目のない映像が帰ってきました。

ローズ役のジョデル・フェルランド、10歳の少女が、変幻自在に演じています。無邪気で、しかも、妖艶な’オンナ’の本性までを。あのダコタ・ファニングが、かすんで見えます。

ストーリーの展開は、まさに眠っている時に見る’夢’。関連性はあるのですが、一段ぶっ飛んで進んでいく、映像の「美しさ」をお楽しみください。

他人には、お勧めしません。短い休暇とは、ドラックのトリップ、死体を剥製にして保管・・・ 面白いと言って勧めたら、人格を疑われますから。

お勧め度 ★ 私の満足度 ★★★★

ジャンキーな父親のジェフ・ブリッジスが、いつも着ていた「ことぶき」と入った法被。日本では、どこで売っているのでしょうか?

水戸リードシネマにて 公式HP ローズ・イン・タイドランド

イルマーレ2006/10/21 23:49:38

2004年と2006年の不思議な手紙のやりとり。郵便受けの取っ手がコトリと動く時、幸せな気分になります。

主人公を若者から大人に入れ替えて、しっとりした感じの恋物語に仕上がりました。そんなに期待はしていませんでしたが、思ったとおりの「外れナシ」の作品でした。

キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロック、中年の域の40代。しかし、まだまだ、ラブロマンスが似合う二人です。レストランで1人待つ、サンドラ・ブロックが素敵でした。大人の恋の夢物語を、お楽しみください。

お勧め度 ★★ 私の満足度 ★★★★

本家は、DVDでかなり前に観たので、ストーリーはすっかり忘れ、新鮮な感じで鑑賞。

TOHOシネマズひたちなかにて 公式HP イルマーレ

レント2006/10/22 20:44:23

最初の曲「Seasons of love」で、いきなり惹きつけれました。(i-tunesで早速、曲購入しました)

初演のメインキャストによるブロードウェイ・ミュージカルの完全映画化、80年代雰囲気のアメリカン・ロック・ミュージカルです。

ニューヨークのイースト・ビレッジの家賃(レント)も払えない若き芸術家たち。エイズ、同性愛、ドラックという問題に立ち向かい、「今」を精一杯生きる姿を、謳いあげます。

好き嫌いが分かれるミュージカル映画ですが、私は大好きです。映画とは、もともと現実離れなもの。つまらないリアリティーより、音楽とダンスに酔いしれる楽しみを、逃す手はありません。

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★

2週間限定で、水戸にやっと来ました。初日に行きましたが、観客はたった5人。しかも、若いカップルの2人は1時間ほどで帰ってしまいました。良い映画は、映画館で観ましょう。(私は東京テアトルの株主優待で、ダダで観ているのですが・・・)

水戸テアトル西友にて 公式HP レント

ゆれる2006/10/23 21:55:21

邦画で久しぶりに、’ずしん’と胸に来る映画です。

家業のガソリンスタンドを父親とともに切り盛りする兄、稔(香川照之)と東京で写真家として働く弟、猛(オダギリ・ジョー)。幼なじみ、智恵子(真木よう子)の転落事故裁判を通して、人間の悲しさ、ずるさ、優しさ、臆病さ、大胆さ・・・を目の前に差し出します。

裁判が進むにつれて、人間の心の’闇’を暴き出す。それは、誰もが持っている’闇’でもあるはず。

人間の心は、ふとしたはずみで壊れていく、否、正直になっていくと、そこには、悪魔が待つのか、天使が待つのか?

お勧め度 ★★★★★ 私の満足度 ★★★★★

評判の高かった「ゆれる」、期待通りというか、期待以上の作品でした。これを観ずして、映画を語るなかれ。

TOHOシネマズ水戸内原にて 公式HP ゆれる

サッド・ムービー2006/10/24 22:40:57

ほんのり「おかしく」、ほんわか「あたたかく」、しんみり「悲しい」、善人の、善人たちによる、善人のための映画です。

韓国人気俳優の競演、3組の男女と1組の親子のサッド・ストーリー。前半は、明るく、楽しく、朗らかに、そして、後半は、悲しい別れの訪れが。

「ゆれる」で人間の心の闇を考えさせられた後なので、かえって「サッド・ムービー」が素直に楽しめた気がします。それぞれの別れを迎える結末は、確かに悲しいですが、’ラブコメ’テイストの味付けが、砂糖菓子の甘さのように心地よかったです。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

初めて、試写会の券が当たりました。9割近くが女性の観客、7時開演とはいえ、カタギのサラリーマンでは、行きづらい時間ですね。もう少し遅いといいのですが。

シネプレックス水戸にて 公式HPサッド・ムービー

父親たちの星条旗2006/10/29 20:27:25

61年前に本当にあったなんて信じられないほどの、壮絶な戦闘シーン、次々に人間が殺されていく。

現在の硫黄島は、海上自衛隊の基地があるだけの、一般の人間が住めない島。死者アメリカ兵7千人、日本兵1万9千9百人、アメリカ兵重傷者2万人。たった20平方キロの島で、これだけの犠牲があったとは。

日米の双方の視点からの、第一作目。しかし、あくまでも、アメリカ人兵士の視点であって、アメリカ国家の視点ではありません。

戦争遂行ために、英雄に祭り上げられた3人。戦争は、だれのために行われるのか。国家とは、だれのためにあるのか。国家とは、こんなばかげた茶番劇を演出するためにあるのでしょうか。

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★

スタッフロールのあとに、二作目の「硫黄島からの手紙」の予告編。しっかり、スクリーンに釘付けになりました。

TOHOシネマズひたちなかにて 公式HP 父親たちの星条旗