シネマ日記 迷い婚2006/06/02 23:59:51

ダスティ・ホフマンの「卒業」をネタにして、結婚目前の揺れるオンナゴコロを描いたロマンテック・コメディ。「卒業」の後日談的な展開で、珍しい設定の映画です。

人生の岐路に立った時、自分探しをしてしまう。しかし、自分を探してみても、そんなのどこにも見つかりません。自分はすでにそこにあり、見つけるものではなく、受け入れるものなのですから。最後には、そんなことを感じさせる、笑えて、ちょっとしんみりさせる’いつもの’のロブ・ライナー監督の作品。

ひさびさのケビン・コスナーが、ダスティ・ホフマンのモデルになった人物を演じています。親子3代を恋のお相手にする役で 普通考えられない設定ですが、さすが2枚目の貫禄、あまり不自然とは思わせません。

主演のジェニファー・アニストンが、フレンズのレイチェルのまんまの雰囲気です。安心して楽しめるのですが、そこが逆に物足りない点でもあります。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★

シネプレックス水戸にて、観客は私一人。1500円で貸切ってしまいました。

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シネマ日記 GOAL! ゴール!2006/06/05 22:34:19

「サンティアーゴ」彼の名前を呼ぶ声が、耳に残ります。 主人公サンティアゴが、貧しい生い立ちからプロサッカー選手の夢をあきらめず、叶えていくサクセスストーリーです。

ひたむきな主人公に感情移入していき、自分がこのサクセスストーリーの主人公と一体化してしまいます。念ずれば通ず。願えば叶う。困難は越えるもの。壁は破られる。・・・

誰もが夢を実現できるとは限らないが、ひと時、誰でも夢を実現できるのが映画。映画自体が夢の中なんですね。

ところで、ロズ役のアンナ・フリエルって、「愛と青春の旅立ち」のデブラ・ウィンガーに似ていませんか?

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

ワールドカップ目前、観れば誰でも「にわかサッカーファン」になってしまう、FIFA公認のフットボール映画です。

TOHOシネマズひたちなかにて

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シネマ日記 嫌われ松子の一生2006/06/06 20:47:10

まさに、下り坂を転げ落ちる人生。こんなに暗い話だとは、思っていませんでした。予告編はミュージカル仕立ての下妻物語風だったので、軽めに楽しむつもりだったのですが・・・

世の中に偶然はない、必然だけだ。そうすると、松子の場合は、不幸になるのが必然、運命なのか?

絵に描いたように不幸の底に落ちていく。最初のボタンの掛け違い。しかし、考えてみれば、将棋のプロたちは50手、100手と先を読んで、将棋を指している。不幸という結末の人生は、案外最初の2,3手で、決まっているのかもしれません。

ラストの夜空が美しい。人間の切なさを、ポップにアレンジ、日本版ダンサー・イン・ザ・ダーク的この「暗明るい??」テイストをご賞味ください!

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★

私のお気に入りの歌手のひとり、マイケル・ブーブレのfeeling goodが使われており、感激。アマゾンでit's timeで検索、輸入版があり、試聴できます。

TOHOシネマズひたちなかにて

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シネマ日記 戦場のアリア2006/06/07 21:53:03

第一次大戦のクリスマス・イブ。戦争の最前線で起こった奇跡。それは兵士たちのクリスマス・キャロルをきっかけに、成しえたフランス軍、スコットランド軍、ドイツ軍のクリスマス休戦、事実に基づいた物語です。

音楽とは、心のなかにある「人間性」を呼び覚ます扉。主義、主張、宗教、国境を超えた’その扉’に鍵をかけられない。

敵国の人間を同じ人間と認識する。たったそれだけで、戦争の無意味さが理解できる。しかし、それが出来ない人間の愚かさ。そして、それが出来た時、奇跡して語り継がれる。

戦場に兵士送る人と、戦場で戦う人。戦争の本当の敵は、敵国の兵士ではなく、戦場へ兵士を送る人たち。聖戦を口にして兵士を送り出す司祭の言葉の、なんとむなしいことか。

お勧め度 ★★★★★ 私の満足度 ★★★★★

こんなにいい映画なのに、上映がある都道府県が23しかないとは、寂しいかぎり。ちょっと遠くでも足を延ばし、ご覧下さい。     シネプレックス水戸にて

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シネマ日記 トランスポーター22006/06/10 23:59:31

主役のフランク(ジェイソン・ステイサム)が、カッコいい、それに尽きる映画です。

ジェイソン・ステイムは、飛び込み選手(世界12位)からモデル、俳優へ転進の経歴通り、見た目もバッチリ、呟くような声が、また渋い。

前作よりフランクの’ありえない’強さが、パワーアップ。荒唐無稽と思わせる危機からの脱出。しかしなぜか、彼だったら、この「嘘だろー」的解決も許してしまいます。アクション・カーチェイスをご堪能ください。

クールで熱いハートを持つ主人公は、いい女に言い寄られても、よろめかない。ルールNo4!

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★

モデルの俳優起用が多い、リック・ベッソン製作、脚本。やっぱり映画は、見かけが大事。

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シネマ日記 雪に願うこと2006/06/11 23:11:47

ネット事業に失敗し全てを失った主人公学(伊勢谷友介)。捨てたはずの故郷だけが、彼の戻れる場所。「ばんえい競馬」の調教師の兄・威夫(佐藤浩市)の元で、引退(サクラ肉になる)を待つウンリユウの世話始めるのだが・・・

農耕馬が橇を引く「ばんえい競馬」。冬の朝の馬たちの姿が、美しい。力の限りを振り絞る馬の体から、霧のように立ち上る水蒸気に、神聖さを感じます。

威夫と厩務員たちの馬に対する深い愛情とお互いの信頼感、威夫と賄い人(小泉今日子)の秘めやかな愛情。足ることを知る人たちの経済的には豊かとはいえないが、精神的に豊かな生活を、そこに見つけるでしょう。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★

伊勢谷友介と佐藤浩市が似ていないけれど、新旧の二枚目が兄弟役ということで、しっくりとスクリーンに収まってきますね。

シネプレックス水戸にて

公式HP 雪に願うこと

シネマ日記 インサイド・マン2006/06/12 23:59:16

スパイク・リー監督、しかも、豪華キャスト。期待せずには、いられないのですが・・・

犯人(クライブ・オーエン)と人質、犯人と警察(デンゼル・ワシントン)、弁護士(ジョディ・フォスター)と被害を受けた銀行の会長(クリストファー・プラマー)、弁護士と警察と、絡み合い事件が進んでいきます。

しかし、私には犯人と会長の接点が、最後まで見えてこなくて、ストーリに入り込めませんでした。この接点を、もう少し説明して欲しかったのですが、そこを読みきれなかった私が悪いのでしょう。陳腐な説明的エピソードを入れるなんて、リー監督は許さないのでしょうし。

どなたかこの接点を意味するシーンをお気づきの方、教えていただけませんか?

お勧め度 ★★ 私の満足度 ★★

銀行強盗に入り、人質を取ったところまでとは、文句なく面白いです。その後が、各人各様となるのでは。

TOHOシネマズひたちなかにて

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シネマ日記 白バラの祈り2006/06/15 23:59:21

制度とは道具であり、道具は意思を持たない。だが、使う人間の意思を表す。ナチスドイツにも無論、裁判制度はあり、裁判官、検事、弁護士が揃っていている。制度的としては、公平な裁判が保障されている。しかし、そこで行われた裁判とその判決は、ナチスドイツの狂気の意思を見事に表したものだった。

実話にも基づく、ナチスドイツに毅然として反抗した女学生ゾフィーの5日間。

調査官ロベルトとゾフィーの尋問シーンで、ナチス側のロベルトが特殊な人間でなく、常識的な人間であり、狂気とは無縁の人間として描かれている。この現実が、恐ろしくもあり、また、救いの手がかりと感じとれました。

お勧め度 ★★★★★  私の満足度 ★★★★

ラストの映像の衝撃を、しっかりと受け止めたい作品。鉛を心臓に打ち込まれます。

TOHOシネマズひたちなかにて

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シネマ日記 ポセイドン2006/06/17 23:23:36

豪華客船が大津波により、転覆。その恐怖と不安を、最先端のCGとスタントを駆使し、圧倒的迫力の映像と音響により実現。

パニック映画好きの私としては、大満足。しかし、「この面白さ」あとには残りません。スカッと爽快の後味。遊園地のジェットコースターやお化け屋敷の「面白さ」です。

人を振り落とし、自分は生き残る。刑法の緊急避難で、もちろん刑罰の対象外。娘のために命を懸ける父親の姿・・・それなりの人間模様もあるのですが、掘り下げてはおりません。

もっとも、現実ではない転覆事故だから、それをエンターテイメントとして楽しめるのであり、あえて人間模様を切り落としのでしょう。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

この迫力は映画館で。DVDでは、面白さは半減だと思います。

TOHOシネマズひたちなかにて

公式HP ポセイドン

シネマ日記 佐賀のがばいばあちゃん2006/06/21 21:27:48

平成も、はや18年を過ぎ、昭和は遠くなりにけり。 近ごろの邦画界、昭和30・40年代を舞台とした作品が、目立ちます。

私のような中高年にとって、この時代設定だけで、鑑賞意欲をそそられます。貧しかった時代が、良かったわけではないのですが、自分の過去を肯定してくれるような映像が、心地よいのです。

自分のこれからの人生に、残された選択肢は少く、不安だけ残されている。しかし、あの頃は、不安と同じだけの希望を持っていた。

吉行和子演じる、がばいばあちゃんの「貧乏人のやせ我慢語録」、ちょっと笑えて、心にしみます。やせ我慢も、言い続ければ、人生哲学!

お勧め度 ★★★  私の満足度 ★★★

観客は、ほとんど中高年。高齢化社会を迎え、映画業界のターゲットは、「ジジババを狙え」?

公式HP 佐賀のがばいばあちゃん