胡同(フートン)のひまわり2006/12/01 21:46:14

絵画の構図のように、均整の取れた映像と落ち着いた音楽。そして、たんたんと進むストーリー。地味で派手さがなく、驚くべき大事件も起こらないが、カットを丁寧につないだ、いい作品です。

画家だったが、強制労働で手をつぶされた父。息子のシャイヤンの絵の才能に自分の夢を託す。それが、父と子の葛藤のもとでもあった。中国近代化のひずみが、人々の心に残したつめ跡を、考えさせられます。

妻のため、息子のため、家族のために生きた父。強制労働で何を見、何かあったかは、語らない。しかし、最後に、家族をおいて旅に出る。語ることのできない、心の穴の深さなのでしょう。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

観客の年齢層が高い。40代の私が一番若かった。あとの方は、50代、60代、70代とお見受けしました。

水戸リードシネマにて 公式HP 胡同(フートン)のひまわり

プラダを着た悪魔2006/11/23 18:34:12

アメリカ映画の健康的で、おしゃれで楽しく、そして、元気が出てくる映画です。アン・ハサウェイとメルリ・ストリープの二人に魅力の110分間。

さなぎから蝶へ、地味な才媛がまたたく間にゴージャスな女性に変身していくのですが、そこで得るもの、失うもの。自分のやりたいことと、大切にしたい人を失うことで、得るものに、本当に意味があるの?そんなことも、ちょっと考えさせてくれます。この、’ちょっとだけ’がいいですね。

女性なら、ニューヨークの町並みやパリの通りをファッショナブルな装いで、自分が歩く夢を、主人公のアンディに託すことができそうです。この映画には、マドンナの曲がぴったりでした。「That's all」!

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

中年男性の私には、意味不明の固有名詞やカメオの出演者。ファッションに詳しい方には、絶対お勧めですかね。

TOHOシネマズ水戸内原にて 公式HP プラダを着た悪魔

シネマ日記 パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト2006/07/27 23:59:53

前作の内容をほとんど忘れていて、最初はストーリーに入り込めなかったのですが、ドンパチ、ドッカン、海賊たちの大暴れを楽しめました。

バハマ&ドミニカの海の美しさ、デイビー・ジョーンズの奇怪さ、美醜とりまぜ、「これでもか」と映し出します。3部作ということで次も観てしまいますが、この豪華絢爛なエンタテイメントを、私はそのころ、また忘れているのでしょう。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★

盛岡フォーラムにて レイトショーなんと1000円安い! 「映画館通り」、素敵な響きの場所にありました。

公式HP パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト

シネマ日記 ホワイト・プラネット2006/07/07 22:47:51

地球とは、だれのものなのでしょうか?

人間だけのものでは、ありません。生きとし生けるもの、すべてのためのものなのでしょう。

北極という極限の地、マイナス50℃の世界。人間の想像を超る動物たちの姿。人間が引き起こした地球温暖化により、年々減少しているという、北極の氷の世界。

動物たちは、与えられた環境を受け入れることしか出来ないが、人間はそれを拒否し、自分たちの都合だけで変えてしまう。だが、それは人間だけでなく、生きとし生けるものすべての地球から与えられた生きる時間を縮めている。

お勧め度 ★★★★ 私の満足度 ★★★★

冷房が効きすぎた映画館、夏風邪を引いてしまった自分。安逸な生活を求めると、地球温暖化を進めてしまう。こんな簡単なサインも、人間は見過ごしてしまうのですね。

TOHOシネマズひたちなかにて

公式HP ホワイト・プラネット

シネマ日記 ポセイドン2006/06/17 23:23:36

豪華客船が大津波により、転覆。その恐怖と不安を、最先端のCGとスタントを駆使し、圧倒的迫力の映像と音響により実現。

パニック映画好きの私としては、大満足。しかし、「この面白さ」あとには残りません。スカッと爽快の後味。遊園地のジェットコースターやお化け屋敷の「面白さ」です。

人を振り落とし、自分は生き残る。刑法の緊急避難で、もちろん刑罰の対象外。娘のために命を懸ける父親の姿・・・それなりの人間模様もあるのですが、掘り下げてはおりません。

もっとも、現実ではない転覆事故だから、それをエンターテイメントとして楽しめるのであり、あえて人間模様を切り落としのでしょう。

お勧め度 ★★★ 私の満足度 ★★★★

この迫力は映画館で。DVDでは、面白さは半減だと思います。

TOHOシネマズひたちなかにて

公式HP ポセイドン

シネマ日記 ヒストリー・オブ・バイオレンス2006/05/23 21:19:17

田舎町の食堂に起こった強盗事件。店主のトム(ヴィゴ・モーテンセン)は店員や客を護るため、犯人を射殺する。地元のヒーローとしてマスコミに取り上げられ、それがトムに恨みを持つマフィア(エド・ハリス)の知るところとなる。

暗い過去を清算したはずのトム。その過去を知らない、妻(マリア・ベロ)と子供たち。崩れ落ちていく、しあわせな夫婦と家庭。

銃社会のアメリカ。暴力でしか物事を解決しない人間たち。 そんな人たちの暴力を止めるには、暴力しかない。そんな現実を静かに突きつける。 この物語の結末を決めるのは、観客のあなた。そんな締めくくりです。

お勧め度 ★★★  私の満足度 ★★★★

水戸リードシネマにて   日曜日の午後なのに観客二人。出るときに、映画館の方に「ありがとうございました」と深々とお辞儀をされてしまいました。

リードシネマは久々、去年のShall we Dance?以来でした。大手シネコンに負けないで頑張って欲しいとの思いで、“チケット5”(5枚綴り)¥5000を購入。いや、単に映画を安く観たいだけなのか(笑) 

公式HP ヒストリー・オブ・バイオレンス

シネマ日記 ピンクパンサー2006/05/20 09:36:39

 肩のこらない、ためにならない、くだらない、そして、面白いコメディです。

 あのおなじみの音楽ではじまる、’愛すべき困った善人’クルーゾ警部が、繰り広げる珍騒動。今回のスティーブ・マーティンの新クルーゾ警部は、ピーター・セラーズのイギリス風味と一味違うアメリカ風味。しかし、なかなか合っていた感じです。ハンバーガーの発音ネタの笑いは、さすが、スティーブ・マーティン!

共演になぜか豪華に、ジャン・レノ、クライヴ・オーウェン。やっぱり、自分でも楽しめる役、たまにはやりたいのでしょうね。 ジャン・レノの着ぐるみダンス、クライブ・オーエンの「006」は、必見か?

お勧め度 ★★  私の満足度 ★★★

昔の2本立て上映の1本として観ることが出来たら、大満足となる映画しょうね。

OHOシネマズ水戸内原  マイル残高 254

公式HP ピンクパンサー

シネマ日記 ブロークン・フラワーズ2006/05/11 08:02:41

「古池や蛙飛びこむ水の音」?? ジム・ジャームッシュ監督の特有の「間」を十分堪能してください。芭蕉の俳句を味わうように。

ビル・マーレイのペーソスあふれる風情がなんとも、味わい深い。

1通のピンクの封筒の手紙から始まる、’ちょっと’笑えて、’ちょっと’寂しい、そして、誰もが、何かを’ちょっと’感じる映画です。この、’ちょっと’の感覚が、私には心地よく感じられます。

だだ窓の外を眺めている主人公の後姿のシーンを差し出されたら、それを自分で勝手に解釈して楽しんだり、解釈しないで静かな映像に身をゆだねたり、あなたの気分で自由に楽しんでください。

お勧め度 ★  私の満足度 ★★★★★

私のツボに嵌る映画なので、万人にはお勧め出来ないのが残念。大好きなロードムービーで、しかもジム・ジャームッシュ監督。この監督の「ダウン・バイ・ロー」「ミステリー・トレイン」もお勧めです。

シネプレックス水戸にて

公式HP ブロークン・フラワーズ

シネマ日記 プロデューサーズ2006/04/15 21:36:28

プロデューサーズ

ミュージカル映画は、あんまり難しいことを言わず、歌と踊りを楽しむに尽きますね.。

意味なく(意味はあるのでしょうか)、いきなり登場人物たちが、歌い踊りだす’瞬間’の間が、私は大好きです。

登場人物のテンションが高く、冷静に考えるとお馬鹿ムービー的内容なのですが、さすがトニー賞受賞のブロードウェイミュージカル、「春の日のヒトラー」の舞台シーンは、文句なく楽しめます。

それと、おばあちゃんたちのダンス?シーンがあるのですが、 これも、なかなか見ごたえありです。

おすすめ度 ★★★★  私の満足度 ★★★★

エンドロールの最後まで楽しめますので、決して席を立たないでください。普通なら絶対読みたいと思わない、ある本を買いたくなりますよ。

フリーパスポート鑑賞 1作目 ダダで何本観られるか?

公式HP プロデューサーズ

シネマ日記 ブロークバックマウンテン2006/04/13 20:59:12

ブロークバックマウンテン

人には目に見えない、いろいろな’一線’が張り巡らされている。それはモラルやタブーと呼ばれるものでしょう。 この映画はその一線を越えてしまった者の哀しみを、私たちに教えてくれます。

越えない方が、幸せだったのか。しかし、彼らは越えてしまったのであり、越えずには、居られなかった。

だれも自分の幸せを求めるが、どこかで歯車が狂えば、その幸せを求めることが、不幸を求めていると同じこととなる。

芸術・文化の一翼ながら、ショウービジネスでもある映画産業。保守的思想の業界でもあり、’ゲイ’をテーマしたとした映画には、アカデミー作品賞を贈らなかったとか?

ゲイのイニス役(ヒース・レジャー)とその妻アルマ(ミシェル・ウィリアムズ)。物語では離婚するのですが、実生活ではこの映画がきっかけで結婚し、一児をもうけております。男同士のキスシーンが、男と女のラブロマンスのはじまりだったとは。

お勧め度 ★★★★★ 私の満足度 ★★★★

水戸では4/15から「クラッシュ」と「ブロークバック・マウンテン」どちらも観られます。お見逃しなく!

スタンプラリーポイントで鑑賞、フリーチケット交換は次回に

公式HP ブロークバックマウンテン