シネマ日記 天空の草原のナンサ2006/03/12 15:23:30

天空の草原のナンサ

主人公の少女ナンサ、普段は学校に通うため家族とは離れていますが、学校の休みで家族の下に戻って来たところから、ストーリーは始まります。

遊牧民の自然と共生し、自然を畏れ、自然に感謝する。その姿が、この一家のゲル生活を通して、生き生きと描かれています。

人生の「豊かさ」を、文明や資本主義が’必ず’もたらすものなのかを考えてしまいます。 モンゴルの大平原の美しさと子供たちの笑顔。これ以上の豊かなものがあるのでしょうか。

しかし、人間には’適応’という変化と進化を求める本能も持っています。やがて、この家族も遊牧の生活を離れていくのでしょうが、自然への畏れと感謝を知る遊牧民族の誇りを、失わないで欲しいと切に感じました。

お勧め度 ★★★★  私の満足度 ★★★★            モンゴルの遊牧生活を、本物の遊牧民一家が演じた佳作です。

スタンプラリー6点で加算なし 6000マイルまであと699

公式HP 天空の草原のナンサ

コメント

_ ミチ ― 2006/03/12 21:52:34

こんにちは♪
TBありがとうございました。
この映画が大好きです。
映画というよりもドキュメンタリーと言ったほうがいいのかなぁ?
>自然への畏れと感謝を知る遊牧民族の誇りを、失わないで欲しいと切に感じました
本当にその通りですよね。
近代化の波が押し寄せているようですが、あの生活を続ける家族がなくなってしまいませんように。

_ kimion20002000 ― 2006/09/05 07:23:49

TBありがとう。
なにが「適応」で、なにが「進化」なのか、つくづく考えさせられます。ウランバートルでは、便利さと引き換えに、階級差と犯罪の問題が、深刻になっているようです。

_ skywave ― 2006/09/05 21:10:38

便利になって得るものと、失うもの。進化するところと、退化するところ。それを認識して、はじめて適応したと言えると思います。その認識がなければ、失うものだけが多くなっていくのでしょうね。

トラックバック

_ ネタバレ映画館 - 2006/03/12 18:43:57

 モンゴルと聞いて真っ先に思い浮かぶのは朝青龍をはじめとする大相撲力士だろうか。それともキラー・カーンの“モンゴリアン・チョップ”であろうか。

_ 平気の平左 - 2006/03/12 19:40:34

評価:60点

天空の草原のナンサ

モンゴルの遊牧民の暮らしをドキュメンタリー風のドラマで描いた映画。

ドキュメンタリー風のドラマなので、劇的な展開というのは望めません。

ただ、それを補ってあまりある、子供のかわいさ、風景の美しさ、のんびりとした感じが味わえます。


ストーリー的には驚くようなものはないのですが、ドキュメンタリー部分でいくつか興味深い点がありました。

以下、ネタバレあり





まずひとつは、モンゴルの放任主義っぷり。

小さな子2人で留守番をさせたり、6歳のナンサ一人で羊を放牧にださせたり、と日本では考えられないようなことばかりです。

しかも、6歳のナンサが1人前に馬を操っているのですから驚きです。


また、意外と文明が(?)進出しているんだなぁ、ということです。

父親が街へ出る時は、バイクでしたし。

ラストシーンも印象的でしたね。

選挙広報の車が通って、正しい選択を呼びかけるとは思いませんでした。


微笑ましいシーンでかなり癒されました。

牛のフンであそんだりする風景は微笑ましかったですね。

一番、微笑ましいシーンは、ナンサの牛の糞拾いの場面でした。


観ると子供の可愛さにかなり癒されますよ。

ただ、癒されすぎて、私は若干寝てしまいました。

あんまり疲れすぎの時に行くのは、逆におススメ出来ません。

_ 空想俳人日記 - 2006/03/12 21:09:29

むかし昔 戦意を棄てた 国ありき 


 むかしむかし、お金持ちの家族が住んでいました。ある日、その家のとても美しい娘が重い病気になってしまいました。どんな薬を飲んでも治りません。そこで父親は賢者に相談に行きました。すると賢者は、「黄色い犬を飼っているだろう?

_ ミチの雑記帳 - 2006/03/12 21:56:06

映画館にて「天空の草原のナンサ」★★★★★

モンゴルの草原を舞台に遊牧民の少女と子犬の心の交流を描いた作品。
こういう珍しい国を舞台にした作品を見ると、「映画」としてよりもまず、その国の風景・言葉・文化・習慣・生活ぶりなどに全神経が集中してしまう。劇映画といっても現地の本物の家族をカメラで追っているので、限りなくドキュメンタリーに近いものを感じる。

どこまでも広い空、ずっと続く草原、そこを渡る風さえ感じるような風景にまず魅せられる。そしてホッペが真っ赤な素朴な3人の子供達(全員女の子かと思いきや一人は男の子だった!)がすごくカワイイ。キレイな色のデールという衣装を着て頭にはリボンを結んだ理屈ぬきに可愛い子供達は小さくてもちゃんと家族の一員としてお手伝いをしている。
長女ナンサが子犬・ツォーホルと出会ったり、迷子になった時に助けてくれたおばあさんに『黄色い犬の伝説』を聞いたり、ゲルを移動したり、ドラマはある。でも、それよりなにより一家の穏やかな日常生活が心を捉えて離さない。厳しい大自然の中で逞しく生きる家族はつながりも強く、なんともいえず温かい。

せっかく可愛がっていた子犬を捨てて来いと言われて、ナンサが母親に「どうして捨てなくちゃいけないの?」と聞くシーンがとても印象的。
母「手の平を噛んでごらん」
ナンサ「できない。・・・ムリよ」
母「近くにあるのに噛めないでしょう? 全部は思い通りにならないの。」
こう言われた後も何度も手の平を噛もうと頑張るナンサがいじらしい。

そして「来世も人間に生まれ変われるかな?」というナンサにおばあさんが言う。
「針の上にお米をパラパラ撒いてごらん。針の上に一粒でもお米が乗ったら教えて」
ナンサはやってみるけれどできない。
「それほど人間に生まれ変わるのは難しいということよ」とおばあさん。
『黄色い犬の伝説』といい、昔から語り継がれていることを上手く子供に伝えているのに感心した。

視覚的にはゲルの解体シーンには驚く。地理の授業で習った遊牧民族の家・ゲル。それがあんなふうに解体されて、あんなふうな骨組みを持っていて、あんなふうにコンパクトになって次の土地へと運ばれていくのを見ているだけでも楽しかった。また、チーズを作る過程もさりげなく見せてもらう事ができる。

選挙カーがラストに出てきたり、都会へ出て行く仲間の話がでてきたり、近

_ 日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~ - 2006/03/12 22:45:13

どこまでも続く、モンゴルの大草原。その中に張られたゲル(モンゴルの遊牧民のテント)に、ナンサと両親、妹、弟の五人家族が生活しています。ナンサと捨て犬だったツォーホルの出会い、ナンサが出合ったおばあさんに聞かされる黄色い犬の伝説などがストーリーの中心になりますが

_ かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY - 2006/03/12 23:28:11

モンゴルの雄大な自然とゆったりとした暮らしが素晴らしい。
ハートウォーミングで心の清浄作用は抜群。

6歳のナンサと妹と弟と両親の遊牧民家族の生活風景。
モンゴルで語り継がれる「黄色い犬の伝説」を下敷きにした物語。前作 『らくだの涙』の舞台はラクダのいるゴビ砂漠地帯だったけど、このたびは緑鮮やかな大草原のど真ん中。広がる草原に羊の群れ。この風景がとても好き。
そんな自然の美しさと素朴な暮らしへの感銘は、去年観た『天上草原』(中国の内モンゴル自治区のもの)で体験済みだったけれど、普段文明生活にどっぷり浸かっているから、その根源的な美しさと清々しさには何度でも心洗われる。

大...

_ 吾輩はナマケモノである。 - 2006/03/16 10:05:29



ナンサも家族も良かった。
だけど、一番泣かせたのは、カンヌ映画祭で『パルムドッグ賞』を受賞したワンコ“ツォーホル”。
終盤の別れの場面、ナンサの離れがたい想いや、クゥーン、クゥーンと鳴く声に涙、涙でした。
『捨ててきなさい』と言われ、一生懸命に犬を隠すナンサの気持ち・・・・痛いほどわかるんです。
犬好きには、たまらない映画でした。


青い空、緑の草原、ナンサ一家以外に人の居ない大自然。
真っ赤なホッペに、まん丸な顔、素朴で優しくて、力強く、なんだか懐かしい、そんな気分にさせる映画です。
スクリーンなのに、陽射しがまぶしくて仕方ない・・・・私がその場に居るような、ナンサ一家に『うるるん滞在』をしている気分でした。


満足度★★★(+★ワンコに)
ワンコ熱演度★★★★★
モンゴル体験度★★★★★

_ サーカスな日々 - 2006/09/02 14:04:23

「私には撮りたい映画がある」と、
ダバー監督はなんの迷いもない。

ダバー監督の前作「らくだの涙」は、多くの人に新鮮な感動を与えた。
モンゴルの砂漠地帯の遊牧民族の一家。そこの母らくだが産んだ赤ちゃんは、白い子らくだ。母らくだは育児拒否をする。白い子らくだは、弱っていく。乳を求めて泣き続ける。遊牧民は、伝承にしたがって、当然のように、母らくだに音楽を聞かせる。HOOS・・・この四文字をひたすら詠唱し続ける。長い時間がたち、母らくだの目から一筋の涙が流れ出す。母らくだはようやく、白い子らくだを向かい入れ、乳を愛情深く飲ませるようになる。

シンプルだが、とても感動させられる映画である。サンフランシスコ国際映画祭で国際批評家賞受賞をはじめ、世界各国の映画祭で絶賛された。アカデミー賞ドキュメント部門にノミネートもされた。あるメディアいわく「もし、最優秀動物演技賞部門があれば、この母らくだと白い子らくだに与えられるだろう」。



「らくだの涙」は、ダバー監督のミュンヘン映像映画大学(HHF)での3作目、同じ学校の出身のイタリア出身の若手監督ルイジ・ファルロニとの共同監督作品であった。

ダバー監督は、この成功で、自らのドキュメントに関する方法論に、確信をもったと思われる。
ドキュメントの好きな監督は?と訊かれたダバーは、こう答えている。
「大好きなドキュメンタリー映画の監督はたくさんいますが、特に名前は挙げません。感銘を受けた多くの作品名を挙げることもできますが、何か特定の作品と同じような映画を作りたいとも思いませんでした。私には撮りたい映画があるのですから、そんなことを思うはずがありません」



「撮りたい映画」あるいは「撮ることを約束されている映画」!そこに、ダバー監督は、揺ぎ無い確信を持つに至ったのだ。そして、必然の過程として、本作「天空の草原のナンサ」が、クランク・インしたのである。

ダバー監督の今回のモチーフは、祖母から聞いた「黄色い犬の伝説」である。モンゴルの輪廻転生論では、「犬は来世で人間にうまれ変わりやすい」という。
冒頭、映画は夕暮れ時に、死んだ犬を埋葬するシーンから始まる。犬の尻尾は切り取られ、骸に抱かせるようにしている。来世は、人間に、生まれ変わりますように。
このシーンから、いきなり僕たちは、どこか遠い遺伝子の記憶の世界、あるいはモンゴリアンの