シネマ日記 ある子供2006/02/12 11:49:51

社会の底辺で生きる若者たちの断面を、飾り気なしに淡々と描いた映画です。 2005年カンヌ映画祭最高賞パルマードル受賞作。

この映画コピーは、「痛みを知ること、やさしくなること。」 大人になるとは、他人の痛みを知る時なのでしょう。

特に印象に残った場面は、主人公たちの脇で描かれていた刑務所での面会場。広い会場なので何組もの家族の面会風景が映ります。とある受刑者の男が、妻が連れてきた娘の髪をなでるシーン。数少ない救いのある光景でした。

お勧め度 ★★★ -観客総数4人のうち、親子(母と中学生くらいの娘)で鑑賞していた方がいました。こんな重い暗い映画を?確かに文部科学省特選の作品でしたが。

水戸テアトル西友のため加算なし 6000マイルまで1457

公式HP ある子供

コメント

_ マダムクニコ ― 2006/02/12 16:09:43

>とある受刑者の男が、妻が連れてきた娘の髪をなでるシーン。

私は気が付きませんでした。
ラストの刑務所のシーンでは、赤い色の椅子が印象的。希望を表している様で・・・。


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_ シネクリシェ - 2006/02/12 13:28:07

 これほどまでにどうしようもないというかだらしないというか、救いようのない若者を赤裸々に描いた作品も他にないのではないでしょうか。  定職に

_ ラムの大通り - 2006/02/12 14:04:57

----この映画知っているよ。今年のカンヌのパルム・ドール受賞作でしょ。
「そう、監督がベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟。
本作の受賞でコッポラ、ビレ・アウグスト、今村昌平、
そしてクストリッツァしか成し遂げていない
<パルムドール大賞2度受賞監督>の仲間入りを果たしたんだ」
----この監督って社会派のイメージがあるけど、今度もそうなの?
「うん。久しぶりにこの言葉を使わせてもらうけど、
物語はきわめてシンプル。そしてメッセージはダイレクト。
プレスに巧くまとめてあるので、ストーリーはそこから借用しよう。
『20歳のプリュノ。定職には就かず、仲間とともに盗みを働いて、
その日暮らしをしている。
恋人はソニア、18歳。ふたりの愛は、まるでじゃれあう子犬のようだ。
ある日、ふたりの間には子供ができる。
だが、ブリュノにはまったく実感がない。
盗んだカメラを売りさばくように、ブリュノは子供を売る。
それを知ったソニアはショックのあまり倒れ、
ブリュノはそのときになって初めて自分が冒した過ちに気づくのだが…』」
----ありゃ、ホント暗い。社会派映画の代名詞って感じだ。ついていけた?
「うん。映画そのものがサスペンスフルだったからね」
----えっ、それってどういうこと?。
「トップ・シーンが生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて階段を上がるソニア。
これがいかにも危なっかしい。大通りに出れば彼女の前を車が行き交う。
ここでは意図的に騒音を大きくし、観る者の不安をかき立てる」
----ニャるほど。それじゃ赤ちゃんも大変だ。
「うん、この赤ちゃんジミー役には、なんと21人もクレジットされている。
慎重にも慎重を期して撮影したんだろうけど、それでも観ていてハラハラだった」
----それじゃタイトルの意味は、
生まれた時から受難に満ちた人生を送っているこの赤ちゃんのこと?
「いや、それもあるとは思うけど、
観てすぐ気づくのは、この<子供>がブリュノのことも意味しているってこと。
これまで青春映画と言えば、
一生懸命がんばっているけど、社会の壁にぶち当たったり、
罠に落ちたり、裏目に出たりで巧くいかないという描き方が多かった。
しかし、このブリュノははっきり言って無知。
働きたくはない、つまりは<大人>になりたくないし、
やることなすこと場当たり的でドジばかり踏む」
----その言い方、身

_ かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY - 2006/02/12 14:10:12

徹底したそのリアリズムに引き込まれて。
緊迫感とやるせなさの後に訪れる温かさは格別。

出産した赤ん坊ジミーを連れて、ソニアはブリュノと住むアパートに戻ったが・・。物語は突如始まり、説明的な場面や台詞がないまま時間軸に沿って展開していく。そして、私たちはとにかく主人公の置かれた状況を知りたくて神経を集中し、スクリーンを凝視してしまうのだ。音楽もなく、まるでドキュメンタリーを見ているようなハンディカメラでの臨場感あふれる映像。『ロゼッタ』や『息子のまなざし』と変わらない演出方法なんだけど、これまでほどにカメラが主人公と一体化していないようだ。主人公の動きに合わせてやたらとカメラが小刻...

_ マダム・クニコの映画解体新書 - 2006/02/12 16:12:02

 日本の若者にも通じる、大人になりきれない”子供”を、ドキュメンタリータッチで描いた力作。手持ちカメラ、アングル、音声、小道具などを効果的に用いて、深読みのできる作品に仕上げてある。スリリングな先の読めない展開もすばらしい。
ある子供
(ネタバレ注意!)
 20歳の男性ブリュノは,幼いころから母に愛された記憶がない。そのため母とのホットな関係を諦めきれずに成長した”子供 ”である。母との精神的な分離ができていないので、”他者”の存在を認識できず、自分の欲望のままに行動してしまう。
 窃盗で生計を立てている彼は、盗品の中にあった遺言書を「不要だ」と言って川に捨てるが、これは、過去と未来に繋がるものを切り捨てる”刹那主義”であることを表現している。

 一方、彼の恋人である 18歳の女性ソニアは、彼の子供ジミーを出産することで、”他者”の存在が見えるようになった、ホヤホヤの”大人”である。
片方が子供のままでは”両親”にはなれない。ブリュノが金欲しさにジミーを売り飛ばそうとすることから、二人の関係に亀裂が入る。

この亀裂は、ブリュノに大きな変化をもたらす。
ブリュノは、ソニアとジミー、携帯電話を同時に喪失する。残されたのは、ソニアとジミーの痕跡である乳母車とペアジャケットだけ。
携帯電話を失ったことでブリュノの移動距離が長くなる。母やソニアと連絡をとるにも、乳母車やペアジャケットを売却するにも、いちいち足を運ばなくてはならない。とくにソニアは、彼を嫌って接触を無視するので、ますます歩く時間が長くなる。考える時間が増えることになる。

また、ブリュノは、人身売買人のヤクザからジミーのことで脅かされ、殴られて金を取り上げられることにより、加害者から被害者になる。

さらに、ブリュノは、14歳の少年スティーブにスクーターを借りさせて、一緒に引ったくりをするが、警察に追跡され、川に飛び込む。命がけでスティーブを助けるブリュノ。彼の足をさすって温めてやるブリュノは、まるで父親のように優しい。そんな人情のある人間ではなかったはずなのに・・・。

しかし、ブリュノがスクーターを取りに行っている間に、スティーブは補導されてしまう。「必ず戻ってくる」と、約束したのに・・・。

再び、ブリュノの移動が始まる。今度はパンクしたスクーター(スティーブの

_ 平気の平左 - 2006/02/12 16:52:52

評価:70点

ある子供

カンヌ国際映画祭でパルムドールをとった作品。

圧倒的な描写力で見せるのはいいのですが、ラストが上手く読み取れず・・・

ということで、この評価となりました。

ああいうラストは苦手なんですよね。


以下、かなりネタバレあり




さて、ストーリーは子供と子供が子供を作ったらどうなるか?というお話。

若いカップル、ブリュノとソニアのいちゃつき方を観ていると、ホントにガキくさい。

飲み物をかけあってはしゃいでたりするところを観るとしょーもないなぁ、という感じがします。

子供の近くでタバコを吸うんじゃねえ!って思いましたし。

で、さらにブリュノの方が、盗みをしてのその日暮らしのしょーもない男だから困るわけです。

子供を盗んだカメラと同じような感覚で叩き売るわけです。


すると、それを知った母親のソニアは卒倒。

警察呼んだり、ブチ切れたりするわけですよ。

やはりいつの時代も男よりも女の方が精神的に大人な訳です。

しかも、自分の子という感覚が少し薄い男に比べて、女の方は自分で産んでいるわけで確実に自分の子だとわかりますし、母性本能も芽生え始めるわけですよ。

ブリュノはソニアにぶち切れられて、「大変なことをしてしまった!」ということに気づくものの、子供なので、やはりちょっとどこかずれていたような気がしますね。

「子供を売ったこと」が悪いのではなく、どちらかというと「ソニアの機嫌を損ねたこと」が悪いと感じているように思われました。

ブリュノのしょうもない子供っぷりはホント上手く描かれていました。


ただ、ラストが今ひとつ。

金を作るために引ったくりをして、共犯の少年だけ捕まってしまうのですが、何故かブリュノが自首。

何がどうして自首したのか、その過程が今ひとつわかりません。

そんなにショックだったのかな?

どういうことで心境の変化をもたらしたのでしょうね?

さらに、更生したという結果は、その後、警察署でブリュノが興味のなかった自分の子供「ジミー」のことをソニアに聞いたことで、わかったんですけど、どうしてそうなったのか、どうして自首したのかが、わからないんですよねえ。

こういうラストの映画はちと苦手です。

_ カリスマ映画論 - 2006/02/12 18:01:04



【映画的カリスマ指数】★★★★☆

 人肌の温もりが人間の心を救い出す

_ ヨーロッパ映画を観よう! - 2006/02/12 20:51:33

「L' Enfant」...aka 「The Child」2005 ベルギー/フランス
2005年度カンヌ映画祭パルムドール賞受賞作品(リュック・ダルデンヌ、ジャン・ピエール・ダルデンヌ)
監督はリュック・ダルデンヌ、ジャン・ピエール・ダルデンヌ(ロゼッタ/1999)で、レオン・ミショー、アルフォンソ・パドロ、監督の共同脚本。主演はジェレミー・レニエとデボラ・フランソワ。

映画を観る前に、この映画の監督である二人の作品「ロゼッタ」を観た。やはり同じ監督が作ったのだなと、かな〜り感じるものがある。「息子のまなざし/2002」はDVDで観たのだが、途中で挫折しているので、今一度観な...

_ Mr.Ericの感じたままで - 2006/02/12 23:15:28

注意:ネタばれ有りなので、これから観る予定の方は楽しみが損なわれることをご承知いただいた上で御覧下さい。主人公のブリュノはひどい奴です。恋人が入院中なのをいいことに、

_ こだわりの館blog版 - 2006/03/18 15:39:48

1/21 恵比寿ガーデンシネマ にて


現代に甦ったロベール・ブレッソン

監督・脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガール、ファブリツィオ・ロンジョーネ、
    オリヴィ

_ 酒焼け☆わんわん - 2006/03/28 21:57:35


18歳のソニア(デボラ・フランソワ)と20歳のブリュノ(ジェレミー・レニエ)に息子が生まれる。病院から戻ったソニアは、定職もなく怪しい商売でその日暮しをしているブリュノにまじめに働くよう頼む。。。
2005年カンヌ国際映画祭パルムドール賞に輝いたベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟の作品。8mmフィルムで撮影したようなドキュメンタリータッチのリアルな映像に釘付けになった。

_ 悩み事解決コラム - 2006/07/13 21:39:08

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 以前書いた映画「息子のまなざし」のダルデンヌ兄弟の映画「ある子供」
この作品は2005年度のカンヌ映画祭パルムドール大賞に輝いた。
ベルギーを舞台にした映画だが、ベルギーでは若年者の失業率が20%
を越えているという社会的背景

_ 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~ - 2006/12/08 01:28:55

ベルギー映画監督のダルデンヌ兄弟特集、カンヌ国際映画祭で高い評価を得た不思議な感覚の映画だよね、・・かたくなだけど、リアルに必死に生きていく・・

映画『ロゼッタ(1999)』
原題:Rosetta



キャンプ場のトレーラーハウスで母親と暮らすロゼッタ(エミリー・デュケン

_ 新・ぴゅあの部屋 - 2007/02/17 23:48:41

2005年、ベルギー&フランス。

「ある子供」(★★★☆☆)

監督:
ジャン・ピエール・ダルデンヌ、
リュック・ダルデンヌ。


一夜の宿にも困る貧乏カップルに、赤ちゃんが出来る。
手持ちの物を売っては、
その日の生活をやりくりする日々が続くが、
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